札幌医科大学 地域医療総合医学講座

自分の写真
地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年11月28日月曜日

北海道家庭医療フォーラム

2011年の北海道家庭医療フオーラムが札幌駅前のアスティ45において開催されました。

前半は江別市立病院 若林崇雄先生と月寒ファミリークリニック泉 京子先生
のお二人の若手医師から学生に向けてキャリアパスについての講演がありました。
お二人ともプライマリケア学会が認定する専門研修を終えた家庭医療専門医の
第二期生です。

若林先生は「私がgeneralistになったわけ」と題し先生自身のキャリアを
たどりながら、総合内科の魅力についてユーモアを交えながら解説されました。
若林先生よると医師人生3分割論があるとの持論を披露されました。
医師の人生は1 ~ 10年目を修業期、11 ~ 20年目を労働期、21年目以降を後年期
と分けてキャリアパスのポイントは医師人生の年数によって訪れるとのこと。
そのことを踏まえ、「人間は自由を与えられると不自由になる。」として
現在の若手医師のキャリアが直面する状況として医局制度が崩壊し、臨床研修制度
により、医学生には自由な選択肢が与えられたが、後記研修以後のキャリアパスを
導く事ができずに多くの人が迷っている、と解説されました。
そして総合医の多彩な可能性と様々なキャリアパスがある、とアドバイス。

泉 京子先生は北海道家庭医療センターと勤医協中央病院で後期研修に進んだなかでの
気付きを中心に家庭医としてのキャリアを積んだ経験を講演されました。

泉先生は当初より家庭医を志し、室蘭日鋼記念病院から北海道家庭医療学センター
の家庭医療プログラムに進まれた。後期研修で僻地や離島の診療所において第一線の
プライマリケアに従事していたが5年目にキャリアの見直しを行い、病棟での
診療経験が必要と考えて勤医協中央病院総合診療部で再研修を行ったとのこと。
医師5年目という中堅となってからの再研修や異なる病院での勤務についての不安
と葛藤、またそこでの気づきと発見が成長の糧となっていく様子を、時には女性
らしい視点を交えて率直に語られました。現在は若くして月寒ファミリークリニックの所長として活動されています。

引き続いてワールドカフェ形式で学生さんとファシリテーター役の若手医師がグループワーク。ディスカッションの中でキャリアプランとライフプランについてさまざまな疑問点が抽出されました。

後半は道内の家庭医養成コースをもつ後期研修プログラム担当者から
施設と研修内容についてのプレゼンテーション。引き続いて全員の記念撮影。


最後に若林・泉両氏に学生からの質問に答えていただき、続いて後期研修プログラム責任者により「北海道の家庭医療」「家庭医・病院総合医の育て方」をテーマとしてパネルディスカッションが行われた。

主な内容としては北海道の家庭医療の現状、専門医との協力の仕方、
医師人生での地域医療への携わり方、大学の家庭医療教育の役割、
結婚と転勤などでした。

その後は軽食を取りながらの懇親会となり、打ち解けた雰囲気の中で学生と医師
の情報交換が行われました。

北海道家庭医療フォーラムは今回で4回目となり学生22名、医師23名、事務方
より5名の計50名の参加があり大変盛況となりました。
各学生も日ごろから医療系のイベントやインターネットなどを通じて盛んに
情報交換やつながりをもっています。彼らがやがて家庭医・総合医となって
北海道の地域医療を変えていってくれることを願っています。(助教 稲熊良仁)