札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年11月11日金曜日

夕張の今

11月11日、特別推薦学生(FLAT)を対象にしたランチョンセミナーに参加した。学生11名、教官3名が聴講。今回は、10月3日から6日に夕張町で行った地域医療実習の振り返りを2年生の佐藤南斗君が行った。司会進行役は稲熊良仁助教。

夕張を選んだ理由は村上先生と面識があったことと、財政破綻した町を見てみたかったから。夕張とはどんな町か?メロン(メロン熊、夕張夫妻:負債がある、お金はないけど愛がある)。映画。炭鉱の町(1990年に会社が撤退)から観光の町へ変わろうとした。2006年財政破綻した。一時癪入金で見かけ上は黒字に見せていたが、その額は500億円だそうだ。

村上先生(予防医療を推進、健康講話、医療費削減、夕張希望の杜理事長)と診療所(内科医1名、歯科医1名、非常勤医師数名)の紹介。職員が一人数役担っている。介護老人施設を併設し、ケアマネージャーが活躍しており、施設間の連携がうまく機能していた。

実習開始日、初雪であった。村上医師の外来見学から学んだこと。「できるだけ患者に近い立場で(出身地を聞き出す、敬語は使わない)」「例えを用いてわかりやすく話す」「うまくパターナリズムを使う(患者が嫌がることは婉曲に)」ピンピンコロリが増え、健康寿命が延びたそうだ。

訪問診療の実習では、入院を拒否して在宅で頑張る患者からライフストーリーを聞き出す課題が出された。その紹介がなされた。この地域の特徴として、義理深さと権利意識の高さが挙げられる。税金の滞納率が高い。

まとめ
あるナースの言葉「財政が破綻してくれてよかった」。職員が生き生き働いているし、在宅医療が活発になったから。村上医師の言葉「人が変わらなければ街はよくならない」「医療は目的ではなく手段である」「地域で働くことは映画を撮ることに似ている。もちろん写真家(専門医)が必要なときもある。でも俺は映画を撮ることの方が好きだ。・・・」

このように医学生が、医療を越えて街づくりに興味を示している。これは素質によるものなのか、教育の成果なのか。(山本和利)