札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年11月5日土曜日

イタリアの精神科医療

『人生、ここにあり!』(ジュリオ・マンフレドニア監督:米国 2008年)という映画を観た。

世界保健機関 (WHO)によると、世界で1億5400万人がうつ病に、2500万人が統合失調症に苦しんでいる。また、毎年80万人以上が自殺しているそうだ。

本作品は、1978年、バザーリア法により精神病院が閉鎖されたイタリアの実話に基づいて制作された。約30年前のイタリア。一人の正義感が強い労働組合員が、所属していた組合から異動を命じられ、閉鎖された病院の元患者たちによる協同組合に移る。毎日を無気力に過ごしている患者たちに、自ら働いてお金を稼ぐことを持ち掛ける。みんなを集めた会議で、床貼りの仕事をすることが決まる。失敗を繰り返すある日、仕事現場での思わぬ事故をきっかけに、仕事自体が芸術として評価され、大きなチャンスが訪れる。自由を初めて知った患者たちに、喜びと試練が待ち受ける・・・・

イタリアにおける精神科医療の実態を垣間見ることができる。閉鎖病棟にお願いするような患者とは日頃接する機会が少ないので、このような映画を通じて精神科医療について考える機会になろう。

日本映画では、『精神(せいしん)』(想田和弘監督)というドキュメンタリー映画がお勧めである。外来の精神科クリニック「こらーる岡山」を舞台に、心の病を患う当事者、医者、スタッフ、作業所、ホームヘルパー、ボランティアなどが織りなす世界を映し出している。(山本和利)