札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年11月24日木曜日

糖尿病地方会

11月23日、札幌市で開催された第45回日本糖尿病北海道地方会に参加した。

疫学
・20年間の糖尿病患者像の変化:インスリンと多剤併用群が増え、HbA1cは改善していたが、高血圧、高脂血症の併存が増え、糖尿病合併症・動脈硬化疾患と認知症が増加した。
・eGFRと糖尿病発症リスク:健診時のeGFRが。10年後の糖尿病発症のリスクであると報告した。単相関から推測しているので交絡因子である可能性がある(山本和利コメント)。

DPP4阻害薬
・肥満者にもDPP4阻害剤は有効であった。
・SU二次無効例に、長期的には効果が不十分であった。
・DPP4の製剤を変更することで、HbA1cの改善を認めることがある。
・SU剤とDPP4を併用するときには、低血糖を6%に認めるので、SU剤は減量すべきである。
・少量のインスリン治療者では、DPP4に切り替えができるかもしれない。

GLP-1作動薬
・インスリンで肥満、コントロール不良例にGLP-1作動薬に切り替えて著功した事例報告。
・インスリンを中止し、GLP-1作動薬とピオグリタゾンとの併用で内臓脂肪が著明に改善した事例。
・肥満糖尿病コントロール不良例にGLP-1作動薬に切り替えて改善を認めた事例。入院管理下で行うべきであろうと。
・肥満患者に体重減少効果があった。インスリンを止めても、HbA1c・血圧値も体重も減少。3カ月でピークを迎える。
・副作用として、胃腸症状が多い。
・非インスリン群に切り替えを行って、有効であった(95%)。罹病歴が短い、軽症例に効く。
・同じ注射薬であるが、インスリンより低血糖が少ない、最終的な薬ではないということで、患者にはインスリンよりも受け入れやすいようだ。

■ランチョン・セミナー:最適なインスリン治療戦略 昭和大学 福井智康氏。
・糖尿病患者は長期に経過観察すると、⊿CRPが低下する。
・強化インスリン療法に必要な情報:基礎インスリン:追加インスリン=3:7に近い。
・朝食後1時間値が重要である。より速く効くインスリンが好ましい。
・日中のインスリン感受性は増加する。ランタスはレベミルに比較してグルカゴン抑制作用が強い。その結果、血糖値が安定しやすい。早期に強化インスリン療法をすると、分泌能の保護に繋がる。
・持効型インスリンで空腹時血糖値をコントロールすると、速効型インスリン3回打ちから SU薬の併用に切り替えられる可能性がある。
・持効型インスリンとDPP4阻害薬との併用は有効であるという報告が出て来ている。(山本和利)