札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年11月22日火曜日

つど医2011

11月19日、午前中に北海道の医療系学生North Powersが企画運営した。「つど医 2011 ~北海道の医療系学生集まれ!~」が札幌医科大学で行なわれていたため、参加してきました。

こうしたイベントをインターネットを駆使したネットワーク力で学校や地域の枠を超えて軽々と実行してしまう学生さんたちのパワーは素晴らしい。

多彩なイベントが行われましたが、私は午前中のみの参加で、夕張希望の杜理事長の村上智彦医師の講演「地域医療における医療者間連携」を聴いて来ました。

村上先生は北海道の歌登町出身。せたな(市町村合併の旧瀬棚町)の診療所で地域医療を始め、住民への予防医学に取り組んで1989年度、高齢者1人あたり治療費全国一を記録した一人当たり医療費を2002年度に約半分に減らしました。

村上先生の講演は私が1年目研修医であった2001年に地域医療総合医学講座の講義に来られ、初めてお会いした記憶があります。それから様々な事があり、村上先生の名前は全国区になり、現在の夕張希望の杜設立に至っています。

本日の講義は医療系学生向けに現在の夕張の現状をお話されました。夕張希望の杜のモットーは「支える医療」。患者さんのADLが下がっても「以前できていた事」を行なうことを支援するとのことでした。

車椅子であっても、パチンコに行き、脳梗塞後遺症があっても仲間でお寿司を食べに行き、日々に張り合いを持ってもらう。当初は周囲は「何かあったらどうするの?」と疑問を抱くそうですが、高齢者にとっては最低限の安全が保証されれば、リスクをとっても得られる喜びが大きいようです。曰く「誤嚥するなら病院食より楽しみにしていた寿司でするなら本望」。その言葉を裏付けるように写真の患者さんたちもスタッフも皆さん笑顔でした。年齢を重ねても、病を得ても患者さんの「人間らしさ」を実現する医療が夕張の医療であることが感じられる講演でした。(助教 稲熊良仁)