札幌医科大学 地域医療総合医学講座

自分の写真
地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年11月25日金曜日

松前での取組

松前町立松前病院木村眞司先生講義
今日は医学部4年生「地域医療」の中の
「松前での取組」と題した木村先生の講義を拝聴した。

まずは木村先生自身の自己紹介から始まった。
日本国内にとどまらず多彩な経験をお持ちである。
松前病院では「全科診療医」として診療に当たっている。
医師としての目標として、
1)ジェネラリストとしてやりたい。
2)地域医療の向上
ということを挙げられていた。

続いて松前病院の紹介。
医師11人(スタッフ6人 後期研修医5人)
そのほかにも常に初期研修医や医学生が入れ代わり立ち代わり出入りしている。
そんな中での松前病院の1週間。
朝の勉強会・症例カンファレンス・老人ホームの回診・多職種カンファレンス
研修医の教育回診などなど、病院内の仕事は多彩で
そういう魅力にひかれ、研修医・学生が北海道内外から訪れている。
水曜日・木曜日はインターネットによる症例カンファレンス・講義が行われている。
これは当講座も参加しているが、取りまとめを松前病院が行っている。
全国で70カ所。約200人が参加。

続いて、松前病院でよくみられる病気と題して
1昨年の木村先生の外来を受診した患者さんの問題リストの統計が紹介された
頻度順に
消化器系…便秘 脂肪肝 胆嚢摘出後
循環器系…高血圧 狭心症 心房細動
呼吸器系…気管支喘息 COPD ニコチン依存
血液系……鉄欠乏性貧血 正球性貧血 再生不良性貧血
代謝内分泌…糖尿病 脂質異常症 耐糖能異常
腎…………腎機能障害 糖尿病性腎症 前立腺肥大
婦人科……子宮筋腫
神経系……パーキンソン病 糖尿病性神経障害 脳梗塞後
精神科……不安神経症 鬱病 不眠症
心理社会的…独居 家庭内の問題 介護ストレス
などなど、実に多彩な病気・病態を診療している。
「本当は医学部授業で頻度順に教えられればいいが、、、」
との木村先生の感想はまさにその通りだろう。

続いて、「松前を楽しむ」と題して、
家庭菜園の話やビニールハウスの作成秘話・新企画「釣り」などの紹介があった。
どの企画にも松前病院の研修医の先生や実習に来た学生が参加しており、
非常に和気あいあいとした楽しい雰囲気を感じることができた。
中には、今日の講義に参加している学生の写真もあり、非常に盛り上がった。
病院内で開かれた札幌医科大学医学部合唱部のコンサートの様子も紹介されていた。

はなむけの言葉として、木村先生自身が送られた言葉として
塚田英之先生の
「若くありなさい。そして、若いうちは何でもしなさい」
ドイツの著名な物理学者の
「外の世界を見なさい」という言葉を紹介していた。
最後のまとめとして、
松前病院がやっていることは、どこもやっているようなこと。
至極当たり前のこと。でもこの積み重ねが大切。
これをやるのである。
勉強し続ける。最善を尽くす。楽しむ。
松前のため、北海道のため、日本のために。
と締めくくっていた。
非常に興味ひかれる講義であった。(助教 松浦武志)