札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年10月17日月曜日

睡眠時無呼吸症候群

10月6日、第339回PCLSで「睡眠時無呼吸症候群」を発表しました。

実はPCLSの発表は今回が初めてです。普段は「勉強になるな~」と気軽に参加していましたが、いざ発表となると「本当に自分でよいのか? このような内容でよいのか??」などなど色々考えてしまいました。全国各地の先生方の、朝の貴重な時間、無駄にする訳にはいきません。発表の直前まで、スライドを直したりしていました(←何カ月も前から発表の予定わかっているのならば、きちんと準備しておくべきなのですが・・・・。)

「睡眠時無呼吸症候群」は、ここ数年の間に、交通事故などで広く認知されるようになりました。調べてみると色々なことがわかりました。なんと紀元前4Cから「肥満、睡眠、呼吸停止」などの記述があるのです。肺胞低換気のPickwick症候群もイギリスの小説家 Dickens の「Pickwick Papers」に由来するものであったり、1969年には気管切開が治療法として用いられていたりと。

要点
睡眠呼吸障害 Apnea Hypopnea Index(AHI)≧5 は日本に約200万人以上いると推定される。
睡眠時無呼吸症候群の85%は診断されていない。
ベッドパートナーや日中の過剰な眠気が診断のきっかけになる。
日本人の場合、睡眠時無呼吸症候群の1/4~1/3は肥満なし。
すなわち①容器としての骨格、②内容物としての軟部組織、③筋トーヌスの相互関係
高血圧症、糖尿病、心疾患などと関係があり、メタボリック症候群の呼吸器バージョン
一晩の簡易検査(自宅)にてスクリーニングできる。
治療としてダイエット、側臥位での睡眠、マウスピース、CPAP(持続陽圧呼吸)がある。

睡眠時無呼吸症候群は思っていたよりも有病率が高く、また必ずしも肥満とは関係ない。
しかも高血圧症など生活習慣病と密接な関係を持ち、治療法もある程度確立されてきたことなど、プライマリ・ケア、地域医療、総合医療、家庭医療などに関わる自分たちには必須の知識なのかもしれません。(助教武田真一)