札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年10月26日水曜日

日本高血圧学会総会

10月20-22日、栃木県は宇都宮市にて第34回日本高血圧学会総会が開催され、それに出席してきました。
(大会長がかつて大学で習った先生であり、大学時代を懐かしく思ってというのも出席の動機ではありますが・・・。)

高血圧患者は約4000万人にのぼると言われ、医師になれば必ず遭遇するCommonな疾患です。2009年に高血圧治療ガイドラインが改訂され(JSH2009)診断、治療方針などが示されました。ちょうどその頃、1人診療所に勤務したてで初めて高血圧患者に自分で降圧剤を処方しました。カルシウム拮抗薬かアンテンシン受容体拮抗薬か、などなどJSH2009を眺めながら悩んだ記憶があります。

基礎から臨床まで色々な演題がありましたが、自分は2次性高血圧のスクリーニングについて興味があったのでその教育セッションを中心に勉強してきました。他、学会で話題になっていたことは下記の通りです。

・ABPM(Ambulatory Blood Pressure Monitoring:24時間自由行動下血圧)の重要性
夜間血圧:non-dipperとriserが予後不良
dipper:昼間の血圧よりも10-20%降圧するもの
extreme-dipper:20%以上降圧
non-dipper:0-10%降圧
riser:0-20%昇圧
 現在、JAMP研究(Japan ambulatory blood pressure prospective study)進行中
・家庭血圧測定において、平均血圧も大切であるがSD(血圧変動のばらつき)も大切
・メタボリック症候群との関係性
・睡眠時無呼吸症候群
・肥満:異所性脂肪、Adipotoxicity(脂肪毒性)という考え方
・治療抵抗性高血圧:2次性高血圧症(特に原発性アルドステロン症のスクリーニング)
              ミネラルコルチコイド関連高血圧症

2日目のランチョンセミナー「RAS阻害薬+エプレレノンの有用性」に参加しましたが、決してエプレレノンに興味があった訳ではありません。実は、その演者が大学の同期だったからです。彼は地域医療を実践しながらも血圧の研究を行っており多数論文も出しています。何と自分は研究もしておらず、論文も書いてないことか・・・、と落胆。ま、これから徐々にやればよいか、と即、楽観。

様々なことが勉強になり、またかつての恩師とも再会でき、非常に有意義な学会でした。
(助教:武田真一)