札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年10月6日木曜日

第4回日本医学雑誌編集者会議

10月5日、篠突く雨の中、東京の駒込にある日本医師会館で開催された第4回日本医学雑誌編集者会議にプライマリ・ケア連合学会誌編集委員長として参加した。日本医学会に加盟を認められたばかりなので、今回は初参加である。当学会の着席番号は109番であった。110雑誌の中の109番目の加入雑誌だからであろう。学会誌は167雑誌、J-Stage参加は58雑誌であるそうだ。 

北村聖委員長から紹介。
PubMed Centralの紹介。NIHの助成金をもらった雑誌・論文は全文論文が掲載される、ということが報告された。日本の雑誌は2誌しか参加していない。PubMedよりハードルが低い。XML形式である必要がある。J-StageとPubMed Centralに掲載するのがお勧めである。DOI(digital object identifier)が付与される。論文は社会が読むものであるという報告にパラダイム・シストしている。

医学用語管理委員会から報告。
WEB上で閲覧できるようになった。投稿規定の中に、医学用語辞典に準ずるという文言を入れてほしい。

シンポジウム
・ICMJE(医学雑誌編集者国際委員会:1978年設立)のガイドライン:中山健夫氏
「医学研究の科学性・倫理性」について言及。Integrity(公正さ):誠実、正確、効率、客観性の4つが重要。臨床試験登録の実現。利益相反の表明。

・WAME(世界医学雑誌編集者協会)のガイドライン:北川正路氏
国際的標準となっている方針が含まれていること。質向上のための手引きになっていること、等。

・二重投稿と重複発表:山崎茂明氏。
母語と英語版との二重出版を認めてほしいという要望がある。原則禁止。一流ではない雑誌に目立たない形で重複発表が行われている。調査すると重複発表が9%あり、北欧の著者に多い。医中誌では重複発表が35%、盗用が32%であった(2011年1月)。国内英文誌と和文誌または海外英文誌への重複投稿が中心である。視点や読者層が違えば、重複投稿は可能か?ある雑誌では、投稿された論文についてどの程度同じ表現があるかをチェックしたところ(クロスチェック)、15%ほどが同一研究内容に該当した。
Ingelfingerルール(医学雑誌発表前に他のジャーナルへ発表しない)。

・臨床試験登録について:木内貴弘氏。
研究計画の概要を事前に第三者機関に登録し、公開すること。研究者にはあまりメリットはないが、社会へのメリットがある。1)出版バイアスの防止、2)後付け解析の防止。
臨床試験事前登録をしていないと、雑誌の査読をしない(英文一流雑誌)。今後は投稿規定に義務付ける必要がある。事前登録なのか、途中改変がないかどうかのチェックが必要である。

・「日本医学会 医学雑誌編集のガイドライン」の構成案を北村委員長が説明。

参加する前までは億劫な気持ちが強かったが、参加してみて医学雑誌編集委員長としての重要性を再認識することができた。(山本和利)