札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年10月28日金曜日

データからみる医療事情2

10月28日、松前町立松前病院の八木田一雄副院長のランチョン講義を拝聴した。講義のタイトルは「データからみる医療事情2」である。学生参加者は4年生が5名、3年生が2名、2年生が4名、1年生が5名。

はじめに、病院の課題について。
医師不足、看護婦不足、コメディカル不足、病院経営、医療サービス、等が挙げられる。

今回は待ち時間と患者満足度について話された。
松前病院の内科外来について。紙カルテである。高齢者、慢性疾患、軽症の急性疾患。徒歩、自家用車、バス、病院の送迎バス。
朝。患者の言葉に余裕があるが、2時間過ぎると患者さんの言葉にいらつきが目立つようになる。厚労省で「医者にかかる10カ条」を出している。

「3時間待ちの3分間診療」は日本に特有な現象。日本人の大病院志向。フリーアクセス。患者負担が少ない。薬剤の乱用が多い。薬依存の患者数の増加。病院のかけもち。受け付け順に診察。その日のうちに診察してもらえる。
ここで学生さんに許容できる待ち時間を質問した。

受療行動調査(2008年)結果を紹介。対象数は20万人で、78.5%の回答率。
医師の専門性を知りたい、検査の詳細、安全について知りたいが50%。
受診病院は、医師の紹介、家族・友人からの紹介:50%。
待ち時間は30分以内:40%、30分~60分:25%。
診察時間は3分‐10分:50%。現状は1時間待ちの10分間診療である。
説明をされている率:85%。
別の病院に重複受診:30%、同一病院は10%。
満足している患者は60%、ふつう:30%。

学生さんが行ったミニ研究を紹介された。仮説:「診察時間が長い方が、満足度が高い。」
16年目のある医師の診察。10時から12時に診た30名。結論:診察時間と待ち時間・診察時間とは関係なかった。

待ち時間対策として、診療開始時間を早める、予約制にする、複合施設を併設、患者にポケベルを渡す、等の対策が挙げられている。許容できる待ち時間は30分、院内滞在時間は平均68分。

今回は、地域病院の抱える問題点について勉強することができた。私自身も知らなかったことが多く、大変参考になった(山本和利)