札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年10月17日月曜日

大聖堂

『大聖堂(上)(中)(下)』(ケン・フォレット著、新潮社、1991年)を読んでみた。

本書は中世イングランドを舞台にした物語。文庫本3巻の構成で1,800ページ。1120年から1174年にわたる54年間を綴った歴史小説。

執筆の契機は、「なぜ、大聖堂がつくられたのか」と、ロンドンまでの列車を待つ間に思いついたからだそうだ。スパイ小説を書く合間にも大聖堂の構想は生き続けた。それから10年間、中世史に関する本を読み続けたという。1986年に執筆に着手。資料が少なく、かつての王宮跡地はすでに公園やスーパーマーケットになっており、現地取材も困難を極めたようだ。

建築についても詳細な記述があるが、専門過ぎてつい斜め読みになってしまう。それよりも修道院長フィリップとキングズブリッジ司教ウォルランとの知恵比べが面白い。人生で成功するためには、知恵と誠実さ、行動力、運、が必要であると再認識させられる。恋愛小説、家族愛の小説としても読める。ジャックとアリエナの恋の行方。加えてウイリアム・ハムレイの謀略・蛮行とそれに対する修道院長フィリップ+石工ジャック・ジャクソンたちの防御対策も面白い。秋の夜長を過ごすのにお勧めである。(私の場合は専ら飛行機かIRの列車の中であるが・・・)。(山本和利)