札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2012年2月12日日曜日

地域医療マインドを育む

2月11日、群馬大学で開催された「医学生のための地域医療体験セミナー等協力病院検討会」に参加した。

「群馬県の医師状況と地域枠の概要」について群馬県医務課医師確保対策室から発表があった。県内研修医数が減少している。マッチ率72.7%。必要医師数が469名。10万人当たり206.4名(全国30位)。

地域医療枠。貸与額6年間で1,100万円。1学年当たり18名に貸与。10年間の義務年限。産休・育休、留学、国内留学での中断可能。

群馬大学の学生への取り組み。地域医療の対語は何か?地域とは。地域に実習に行くときにはバスでゆく(距離・時間感覚を実体験する)。他分野の人の話を聞く。県医務課の職員が同行する。首長との面談。自治医科大学生との交流。大学病院で体験できないことを実習する。地域についての事前勉強をしてゆく。(特産物、歴史、偉人、等)。実体験を通じて地地域医療へのモチベーションを高める。医師は医療だけに関わっているのではないことを知って欲しい。余裕を持って考える教育をしたい。医療現場が全国に開かれていることを発信する。感謝される職業であることを教えてほしい。医療関係者と対話する。

受け入れ病院での取り組み。高校生の医師・病院体験(病院の中で体験)を紹介。白衣を着て将来の医師像をイメージして記念撮影。病院からプレゼント。各高校へのフィードバック。医学生は学年を問わず、柔軟な受け入れ。多職種が連携して対応。専属職員を配置。現在、研修医が零の病院の医師から哲学的な発表がなされた。

総合討論後、講演をした。まず地域で望まれる医療の内容はどのようなものか。地域の現場では複雑で複数の健康問題に対応する必要があることを述べた。(専門分化すればするほど健康問題を単純化して考え、画像や血液データを中心に診断しようとする傾向にある。)それに一番うまく対応できて且つ喜んで診療するのはどのような診療科であるかを考える必要があることを強調した。地域医療を再生させるには、個人の資質やコンピテンシィに頼るだけでは無理があり、国や県レベルでシステムに関わるレベルでの大英断が必要である。将来、地域枠学生の診療科や配置が地域医療再生の契機になる可能性は少なくない、と。(山本和利)