札幌医科大学 地域医療総合医学講座

自分の写真
地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2012年2月8日水曜日

バカヤロー経済学

『バカヤロー経済学』(竹内馨著、普遊舎、2009年)を読んでみた。

著者は市中の物理学者であり、科学についてのわかりやすく解説した著作が多数ある。今回は、「知識ゼロから始める」経済学についての著作である。竹内氏と先生との対話で話が進んでゆくので読みやすい。(先生は実在するらしいが、スキャンダルで社会から抹殺されたため、共著ではなくなったと後書きに書かれている。先生って誰なのだろう?)

経済学の本を何冊読んでも、内容が頭に残らない。読む方に問題があるのか、経済学が科学ではないからか?(前提となっている情報の公開はされないし、人は合理的に行動しない。前提が狂っているのに理論が一人歩きして、かつ予測があてにならないとしたら、これを科学と呼べるのか。)

まず、冒頭で、経済学を勉強してもお金儲けにはつながらない、と宣言されている。ある方法が世間に広まったら、それは必勝法ではなくなるから。情報は決して教えてはいけない。こういうのを「情報の非対称性」という(これを理論化してノーベル賞を取ったのがスティグリッツ)。

経済学が教えているのは、世の中ハイリスク・ハイリターンかローリスク・ローリタンであるということ。何かをするためには何かを犠牲にしなければならない。これを機会費用という。相対的に有利なことをしろ。これを比較優位の原則という。これによって分業が促進される。

お金には、実際に紙幣として存在するお金(通貨)と、紙幣になっていないヴァーチャルなお金(準通貨)がある。通貨と準通貨を合わせたものをハイパワードマネーと呼ぶ。銀行に預けたお金を、銀行が誰かに貸すとそれでハイパワードマネーは倍になる。お金が増えることを信用創造という。これが世界のお金の大部分を占めている。

固定相場はドルを基軸に考える(金ドル本位制)。今は世界中が金本位制をやめて、管理通貨制度に移行している。

物価の上昇率がプラスの場合をインフレーション、マイナスの場合をデフレーションという。お金が増えるとインフレに、お金が減るとデフレになる。

合成の誤謬:ミクロ経済の中で一つ一つ正しくても、マクロ経済で考えると駄目になることがある。

税金。寄付をすると税の全額控除に近い。社会システムというのは、インセンチエィブに働きかけるように作るべきである。

日本の財政赤字が膨らんだのは、1990年代に、金融政策もままならないのに、効かない財政政策をやったからである。

交付税とは、使い方に制限がないお金。補助金は核省庁が使い道を指定して配っているお金。

経済成長を遂げるか少子化対策が進まないと、年金は大問題になる。年金制度を維持するためには、保険料を上げるか、貰うのを少なくする。

権力の闘争とは、官吏任命権の争いである。官僚は選挙に晒されないから、常に力を持つ。
審議会のメンバーになった人は、まず間違いなく御用学者である。

内容の羅列になってしまい、うまくまとめることができなかった。

本書は自民党政権時代に書かれたものだ。民主党に政権が変わっても、経済学理論に基づいた良策は提示できないということだけは確かなようだ。(山本和利)