札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2012年2月1日水曜日

六ヶ所村ラプソディー

『六ヶ所村ラプソディー』(鎌仲ひとみ監督:日本 2006年)というDVDを観た。

2004年、原発から出たプルトニウムを取り出す再処理工場が青森県六ケ所村に完成した。2兆円以上をかけた巨大なプロジェクトである。そこには様々な立場・思いを持つ人々が関わっている。農民、漁民、クリーニング店店長、建設業者、村長、賛成派学者(斑目氏)、反対派学者(小出氏)等、様々な人が発言している。

監督は被爆の問題を扱った作品を作り続けている。2003年に監督したドキュメンタリー映画『ヒバクシャ―世界の終わりに』で多数の賞を受賞した。これも必見の映画である。2010年、『ミツバチの羽音と地球の回転』を製作(このブログで紹介済:2011年6月19日)。原発建設反対を28年間にわたり訴え続ける瀬戸内海の祝島(いわいじま)の島民の姿を追ったドキュメンタリー。ここで扱った原発は建設中止が2011年末に決定した。

本作品は2006年の作品なので、2011.3.11の東日本大震災前に、日本に生きる人々が原発について、どのように必要性や安全性を考えて行動してきたかが検証できる貴重な記録でもある。
「中立という立場は楽だ。しかし核問題に関しては賛成と同じである。だから、今、反対の行動をする」という無農薬農業を営む女性から発せられる言葉が重く響く。

この映画を観て一番に感じたことは、本気で子どもたちの未来を考えて生きている人たちの顔は輝いているということ、一方、原発を推進している人の顔はどこか引き攣っているということである。本音では信じられない内容(危険があるのにないと発言しなければならない立場)を話そうとすると人間はそうなるのだろう。私もせめて引き攣った顔だけはしたくないものである。

このDVDを2011年6月に購入(5040円)してから、安心してしまって半年ほど放置していたが、もっと早く観るべきであった。特典としてこの映画のその後を記録した「六ヶ所村通信no.4」という映像がついている。無農薬農業をする若者夫婦の言葉や歌手のUAの発言も注目である。(山本和利)