札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年12月22日水曜日

地域密着型チーム医療発表会

12月21日、15:10-17:30、札幌医科大学の3年生を対象に行った「地域密着型チーム医療」の実習報告会を1年生の発表に引き続いて拝聴した。SEAの手法を用いて報告。
■中標津地区
□患者・家族の講義を中心に発表。
・ぽれぽれの会(のんびり、ゆっくり、自分らしく)
・障害という意味:個性ではないか。コケイン症候群:医師の告知の仕方、看護師:患児との接し方、OT/PT:家庭でのリハビリ。
・地域を変える、病院外での活動が大切。
・医療と患者のつながり:患者の生活を把握し、チョットした変化を見逃さない。
中標津の藤田さんからコメント:患者さんを病気ではなく、人としてみてほしい。

■別海地区
□健康教育の報告:事前に高血圧が多いことを察知。塩分が高い食事を想定。
・BMI,血圧の測定
・「高血圧と食塩」についての講義、クイズを取り入れる。
・減塩の工夫、食べ比べ
・老人クラブの方々の関心の高さを実感。
・幅広い知識も必要と実感。
地域医療は住民・医療関係者・行政が相互に努力して作ってゆくもの。地域住民もチームの一員。札幌が特殊(十分な医療環境)で、地域が普通。北海道についての知識不足。
教員からのコメント:これからどう行動してゆくかが重要。
□児童肥満、母子保健
・助産師、保健師の負担が増加している。異常分娩を扱えない。
・こまめなケアができる。
・「元気な体を作ろう」:食事と運動について、適度な運動を定期的に。お菓子を減らす。町内においても地域差がある。小学生でも健康意識が高い。
・予防医療に力を入れる。
・チーム医療はドラマの作成に例えられる。患者が俳優。保健師は現場監督。医師はプロジューサー。OTは衣装係。PTはメイク係。看護婦はマネジャー。一丸とならないとよい作品はできない。

■根釧地区(和歌山県立医大の看護学生も参加)
□相互理解
・連携、医師との信頼関係、健康教育、他大学の看護学生との関わり、4つの場面で気付き。
地域医療、チーム医療(幅広い視点)に「相互理解」が必要である。相手を理解し、自分自身を知り、相手に自分を知ってもらい、信頼関係を築く。この実習に参加しなかった仲間にこの実習の成果を伝える。北海道に愛着を持つ。コミュニケーション能力を涵養する。

■西紋別地区
□西興部村の家庭訪問
ステンドグラスの製作で生計を立てている女性。若年性パーキンソン病、高血圧、喘息、PBCを持つ。家事をリハビリの代用にしている。一緒に歩く。声かけが逆効果になる。この方の全体像をまとめることができた。
・保健師が何役もこなしている。QOLが重要。在宅に適したケアが必要。その地域で可能なこと、不可能なことを明確にして、他地域と連携するのが大事。
・「地域医療とは一枚の絵である。」医療者は絵具。一色が足りなくても、その他の色を混ぜ合わせると不足の色を作ることができる。対象者のパーソナルカラーを見つけ出す医療者になりたい。
高橋先生からのコメント:行政がパレットである。福祉課と一体化することが重要である。
□自主サークル活動
・柔軟体操、ゴム体操、同時に歌合戦、リズム・ダンスに参加した。とにかく元気。笑いが絶えない。参加者同士の体調への気配り。参加者が主体的に運営。BGMの乗りがよかった。
・介護予防が重要。サークルを通じて参加者の健康意識が高まる。地域の健康活動が高まる。
地域医療との関わり:より地域に根付いた「健康」を作ることができる。住民のチームの一員として取り組んでゆくことが重要である。

このような学部を越えた実習を通じて、学生が自然に幅広い視点を獲得していることが確認できた。彼らがこれからの医療を変えてくれるかもしれない。そんな期待を持たせてくれる報告会であった。(山本和利)