札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年12月13日月曜日

札幌市内の地域医療:医療の在り方

12月13日、旭町医院の 堀元進先生の講義を拝聴した。講義のタイトルは「札幌市内の地域医療」である。今年度は体調を崩され退院後の授業となった。

まず、辛くない授業を目指すことを宣言。札幌医大の臨床実習の様子を紹介。患者さんと一緒に歩むのが医師。学生;「心臓は動いてますヨ」、患者は「よかった」と答える、レベルから始まる。血液検査の数値の意味を理解して欲しい。AST,ALT:逸脱酵素、BUN,Cre:排泄されない、CEA;産生。

今回入院となった自分自身の症状は腹痛、持続する下痢。大腸内視鏡で回盲部に潰瘍病変が多数あり。検査データを示す。最終診断はクローン病。ここで鑑別診断を提示。メサラジン内服して炎症を抑える。ステロイドを併用。CBTの助けになればとあえて披露されたようだ。

在宅医療の話。「なんだか具合が悪い99歳の男性」血液検査でCRP;24。ポータブルXPで肺炎と診断。どうして在宅医療に行くか。在宅医療の機械がすごく進歩した。褥瘡への対応。出張入浴もある。胃瘻造設患者、気管切開患者、脳梗塞後遺症など慢性期の患者を医師・看護師が支えているのだ。

日本医師会の医の倫理綱領を提示。一言でいうと「医師は大変だが、ヒトの役に立つ職業である。」医師の卵の倫理綱領として、医の倫理綱領のパロディ版を提示。学生にとってわからないこと、覚えることが多すぎると共感を示す。学生も共感?医師になると自信がなくてもやらなければいけないこともあると主張。

「患者に希望を与える」。ALS患者は呼吸筋麻痺で気管切開。パソコンでコミュニケーションする。旅行が好きな患者を沖縄まで連れていった。医療者が患者の思いに寄り添うことが大事。

「患者さんの思い」を汲み取る。胃瘻、気管切開、肺がん、甲状腺がんで苦しむ患者さんのビデオを10分間提示。大学病院の医師を受診し、化膿性頚椎炎だったのにホットパックを処方された。学生へのメッセージ:面子を捨てて素直になって欲しい、患者のちょっとした言葉に耳を傾けて欲しい、とかすれた声で切々と訴えた。

「医師の眼」を広く、深く、遠くまで。ネパールの人々の生活している写真を提示。腹部膨満の患者の原因は寄生虫や細菌が多い。病院に行くことができない人も多い。骨折患者の牽引は建設用のブロックを使っている。

学生へのメーッセージ:やるべきことをやり、目標を見失わず、初心を忘れずに努力を続けるべき。試験に落ちるな!夢はその先にある。

学生には堀元先生や患者さんの訴えが伝わったようだ。感想文には、試験を通るように努力し、臨床実習では患者さんの声に耳を傾けたいという意見が多数寄せられた。堀元先生、楽しい講義をありがとうございました。(山本和利)