札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年12月16日木曜日

12月の三水会

12月15日、札幌医科大学において三水会が行われた。参加者は11名。大門伸吾医師が司会進行。

振り返り5題のうち、札幌医大の講義と重なったため聞けなかった2題を除いた後半の3題を報告。

整形外科研修中。寒くなってから手を押さえている高齢者が数名いる(雪道での転倒による骨折患者)。
日曜日夕刻、意識障害・発熱で救急搬送された入院となった91歳男性。肺炎患者という触れ込みで呼ばれた。1週間前から食事摂取できず、37度の発熱。寝たきり、反応が低下したため受診。咳・痰などなかった。既往;肺炎球菌肺炎で入院。胸部大動脈瘤。ここで意識障害の鑑別診断。誤嚥性肺炎、慢性硬膜下血腫、脱水、尿路感染症、肺塞栓、等が挙がった。開眼しており、呼びかけに応答。JCS-1ケタ。BP;127/84mmHg, HR:90/m, SaO2:90%, 心音、肺音:異常なし。皮疹なし。四肢まひなし、感覚障害なし。WBC;6900, CRP;7.8,Na;150, K:3.2, BS;90mg/dl, ECG;大きな異常なし。
胸部CTをコンピュータ上で見ることができなかった。XPで浸潤影あり。大部屋に入院させて、血液培養、尿培養、抗酸菌染色を指示。検査技師を呼ばず、一般抗菌薬で治療開始。翌日、コンピュータ上でCTを見たところ過去になかった空洞が散見された。前回の入院のとき、器質化肺炎としてステロイドを投与されていた。抗酸菌染色が陽性で結核と診断。(胸部CTを供覧)。
振り返り:当直医の肺炎という情報を鵜呑みにして再検討しなかった。結核を全く考慮に入れなかった。「魔がさした」。高齢者の肺炎に結核を入れていなかった。ある病院では、肺炎と診断された患者は全員肺結核を否定してから入院させている。病院全体としての感染症対策システムを構築する必要を感じた。今回はされなかったが、高齢者の肺結核について文献検索が必要であることを参加者から指摘された。
クリニカル・パール:「高齢者を見たら結核と思え」、「結核は忘れたころにやって来る」。

ニポポ卒業生:家庭医試験合格の報告。ブログは振り返りのツールになりうるか?質的研究のやり方をパロディとして報告。ポートフォリオは未来に活かすツール。佐藤健太先生のブログはすごい。ブログは続けてゆきたい。地域医療万歳と言いながら、来年に突撃してゆきたい。ブログの効用について様々な意見が出された。

麻酔科での研修内容を報告。便潜血陽性で診断された患者。右大腸癌切除術を施行されたが、未告知で、発作性心房細動、脳梗塞後遺症がある。本人は他人任せ。娘が手術希望。このような場合、皆さんはどうするか?


今回は忘年会もその後に控えていたため、参加者も多く、報告も多かった。若者たちとディスカッションするのは楽しい。忘年会は時期ニポポ研修医も参加し、1年間の苦労をねぎらってお開きとなった。(山本和利)