札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年9月30日金曜日

金沢大学講義

9月29日、金沢大学総合診療部の講義を依頼され、4年生に「プライマリケアと家庭医療」の講義をした。当日、朝5時半に自宅出発。

正規の講義では、自己紹介をした後、これまで関わってきた事例を交えながら、医療のパラダイム変化、家庭医療学の歴史 、家庭医療学の基本原理(総合医・専門医を巡る勘違い、受療行動、コミュニケーション技能/医師・患者関係、癒しのプロセス、患者中心の臨床技法、予防と健康増進、家族と病気)等を話した。
本年の学生さんの反応は大変よく、そのためか私の方も熱の入った講義になった。感想を読むと好意的なものが多く、総合診療に対する理解が深まったという意見が少なからずあった。

終了後、総合診療部の研究室に場所を移し、大学院生の研究発表を聞き、それに対するフィードバックを行った。テーマは「医師に対する患者・住民の信頼評価」についてであり、400名からのアンケート結果を分析したものである。北大文学部と京大総合診療部の先行研究を土台にした多変量解析研究であり、レベルの高いものであった。

さらに正規の授業終了を待って、学生有志を募っての「北海道の医療の現状と総合診療」という講義を行った。正規の授業を聴講した4年生のうち、10数人が参加してくれた。昨年も参加してくれた医学部3年生の相馬麻由子さんと看護専攻の大久保咲貴さんが駆け付けてくれた。そして昨年の医学展で行った「地域医療ブース」の報告書を届けてくれた。私の紹介した地域視診や地域マップが盛り込まれており、私の話も引用されていた。カーラー印刷でうまく写真を取り込んだ立派な報告書である。

講義の後、「これからの地域医療はどうあるべきか」ということで学生さんたちと意見交換を行った。若者らしい情熱のある意見が多くだされた。地域医療に関わってみたいが、今の医師や住民の臓器専門医に寄せる信頼の大きさ(その裏返しである総合医を受診することの不安)から、簡単に自分たちから地域(総合診療・家庭医療)に飛び込めないという葛藤も感じ取れた。その通りであろう。行政による制度としての取り組みが必要である。今の若者は捨てたものではないというのが正直な感想である。若者から元気をもらった。彼らに夢を託したい。(山本和利)