札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年9月2日金曜日

ヤバい経済学

『ヤバい経済学』(アレックス・ギブニー 、 モーガン・スパーロック 、 レイチェル・グラディ 、 ハイディ・ユーイング 、 セス・ゴードン 、 ユージーン・ジャレキ監督:米国 2010年)という映画を観た。

スティーヴン・D・レヴィットとスティーヴン・J・ダブナーの世界中で400万部売れたヒット本『Freakonomics(ヤバい経済学)』を映画化したものである。本作は監督5人によるオムニバス形式をとっている。

内容は5つのテーマに分かれている。自宅を30万ドルで売りに出したとき、29万ドルの買い手が現われたら、売るか、高値がつくまで根気よく待つか。仲介業者のインセンティブに対する反応を示して問題提起している。

名前が子供の人生に及ぼす影響を分析している。結論は、「環境の影響の方が大きい」である。

「純粋さの崩壊」というテーマで、日本の相撲界を扱っている。本場所のデータ分析の結果、相撲界にはびこる秘密を突き止める。映画制作の時点では、八百長はないということで終わっていたらしいが、その以後、八百長問題が再燃し、本場所が中止になったことは記憶に新しい。

1990年代のアメリカ全土で、犯罪発生率が劇的に下がった。その原因は?「あること」と犯罪の相関関係に着目して分析している。結果は観てのお楽しみ。

シカゴ大学が高校1年生の生徒たちに、「成績が上がった生徒は毎月50ドルのご褒美がもらえ、さらに抽選で500ドルが当たるチャンスを得られる」という金銭的インセンティブを与えると成績が上がるかどうかを探る実験。

スティーヴン・D・レヴィットはシカゴ大学経済学教授であるが、学生時代から変わり者であったようだ。「雑学スレスレ」の研究を経済論文誌に投稿を続けて教授に上り詰めたという。映画を観ながら経済学を学ぼうという方には期待はずれかもしれない。一番の核になる問題設定は「インセンティブ(報酬)を与えると人間はどう行動するか」ということである。(山本和利)