札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年9月19日月曜日

地域医療フォーラム2011

9月18日、東京秋葉原で開催された自治医科大学主催の「地域医療フォーラム2011」に参加した。参加人数は約300名。今回が第4回目。
 午前中、パネルディスカッション。『地域医療の課題に対するこれまでの取り組み』
■国の立場:厚労省。
・分化・連携が不十分。
・地域や診療科における医師の偏在。
・課題:救急医療、周産期医療、災害医療、東日本大震災による被災地への対応。これまでの取り組みを紹介。様々な部会を創設。社会保障・税一体改革成案を作成。
■県の立場:青森県健康福祉部。
・人口136万人、医師不足、174.4人/10万人。262名の医師不足。13の臨床研修指定病院。
・良医を育むグランドデザインを作成。
・優れた医育環境、意欲が湧く環境整備、仕組みを整える(自治体病院の機能再編成、中核病院の新設と既設病院のサテライト化)。
・医学部進学者が増え、研修医数も増えて来ている。
■医師会の立場:前日本医師会常任理事。
・16万人の会員数。少数の理事が対応しているため、日本の医療全体を語ることができない。
・家族機能の弱体化、患者の期待が増大、医療費抑制政策。
・医師会の取り組み情報を取り入れてほしい。人間関係が大切、挨拶重視。
■拠点病院の立場:全国自治体病院協議会常務理事。
・面で支える地域医療:地域医療再生計画、拠点病院の役割、総合医の育成、キャリア形成支援、勤務医・女性医師支援。
・自治医科大学への期待:次元の高い地域医療への指導的役割。
■医学教育者の立場:長崎大学離島・へき地医療教育研究部門。
・医学部入学定員の増加、地域枠の増大[67大学、1,230名]
・地域医療臨床実習カリキュラムの改訂。
・地域医療に関連した寄付講座の増加。独自の取り組み。
・全国地域医療教育協議会を設立。

会場を移動し、4つの分科会で討議となる。
 『診療の現場から』分科会に参加。
■看護師の立場から
・ダブルライセンス・ナース(4年生看護大学卒業)の活用を
・化学療法患者の在宅ケア事例の報告。医師・看護師・保健師との情報共有が難しい。
・特定看護師を作ることで安全・安心の看護体制ができるのか。
■医師会の立場から
・「医師は、専門家でなくても患者の抱える疾病に向かってゆく」ことが大事。
・連携するには多職種間の情報の共有が重要。
・退院後の医療と生活の安定の確保。
・治す医療(EBM)と支える医療(NBM),資格ではなく総合的に支える医療
・安心して地域で暮らすことが医学の目的である。
・医師の機能、医療機関の機能、保険者の機能、が問われている。
■福井次矢氏
・総合医の養成+資格制度(2,000人に一人の総合医、6万人)
・診療情報の一元化、1枚の紙切れでは無理である。
・コントロール・タワーが必要。医療資源の有効活用。Smart Medicine。

5-6名のグループでKJ法を用いたワークショップを行った。

全体討論。
各分科会からの報告・提言。
教育の立場から
・大学病院・中核病院・診療所を医師が循環する研修システムを構築する。
・指導医・研修医のセット派遣に診療報酬をつける。
・地域病院での診療内容も専門医受験に配慮する。
・地域に溶け込んだコミュニケーションを体感してもらう。
行政の立場から
・行政・市民・医療機関が一体となって知己医療を守った。(共同作業・社会活動である)
・理念・ビジョンをもって創意・工夫し、生活の視点から幅広い連携が必要である。
拠点病院の立場から
・コントロールタワー機能を果たす(医師の充足、医師派遣を行う。複数医師体制)
・地域医療・診療支援を教育に盛り込む。[支援体制の確立]
・「行政」・「住民」との連携。(情報の共有化)
・住民との双方向の対話。
・複数の拠点病院がネットワーク化する。

示唆に富む意見をたくさん聞くことができた。今回は特に、「連携」「協働・共同」「対話」というキーワードが頻繁に語られたのが非常に印象的であった。(山本和利)