札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年9月6日火曜日

未来を生きる君たちへ

『未来を生きる君たちへ:IN A BETTER WORLD』(スサンネ・ビア監督:デンマーク 2010年)という映画を観た。 デンマーク語のタイトルは「復讐」であるが・・・。

スサンネ・ビア監督は、『しあわせな孤独』、『ある愛の風景』、『悲しみが乾くまで』という傑作を世に送り出し、世界で高い評価を受けている。彼女の映画は、判断の難しい状況の中で「あなたならどうする?」と観客に倫理観を問う作品が多い。本作は第83回アカデミー賞、第68回ゴールデン・グローブ賞で外国語映画賞をダブル受賞。

今回は、デンマークとアフリカの難民キャンプが舞台である。平和主義者の医師が暴力のはびこるアフリカで難しい決断に迫られる。住民を面白可笑しく虐殺する男が大けがをして担ぎ込まれてきた。その男を治療すべきかどうか。一方、デンマークで母親と幼い弟三人で暮らしている男児は、毎日学校で執拗なイジメにあっていた。両親は別居中である。ある日、男子生徒が、この男児のクラスに転校してくる。その転校生がいじめっ子を殴り倒し男児の仕返しをする。イジメに対して、はやり返さなきゃだめだという確信的行為であり、反省する素振りが見えない。

帰国した医師が、自分の子供とよその子と公園でケンカになったのを仲裁するが、駆け寄って来た相手の子の父親に、理由も訊かれずに殴られてしまう。これを見ていた転校生は怒りを抑えられず、復習のための反社会的な計画を実行し始める。

テーマは、世界に蔓延する暴力に対して、「許し合う」ことで私たちは歩み出すことができるのだろうか、である。理性でわかっていても、感情がついてゆくだろうか。(山本和利)