札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年12月3日土曜日

PEACE

Peace』(想田和弘監督:日本 2010年)という映画を観た。
想田和弘氏は世界が注目するドキュメンタリー映画監督である。これまで、映像を撮るのが難しい分野に乗り込んで『選挙』、『精神(せいしん)』という映画を作っている。選挙運動の舞台裏や外来の精神科クリニックを舞台に、心の病を患う当事者、医者、スタッフ、作業所、ホームヘルパー、ボランティアなどが織りなす世界を映し出している。

本作は「観察映画」と銘打たれている。音楽やナレーションもなく、日本のある日常が映し出される。例えば、ある家に住み着いた野良猫の実態であったり、介護・支援を必要とする障害者や患者であったりする。

タイトルの「PEACE」とは、平和や映画の中で肺癌末期の患者さんが吸うタバコの銘柄か?

ボランティアに近い状態で患者さん・障害者を支える夫婦が車を使って、忙しく岡山市内を走り回る。ガソリン代や駐車料金もままならない。そこに街頭から民主党の鳩山総理大臣の演説が流れてくる。「福祉・医療を充実させます・・・」と。100円単位のレベルで切り詰めている庶民と億単位のお小遣いをもらう政治家とお金に対する感覚の乖離を炙りだす。

弱者の生活や思いと日本政治の貧困が見えてくる映画である。(山本和利)