札幌医科大学 地域医療総合医学講座

自分の写真
地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年12月7日水曜日

初心を忘れず、志を高く

12月7日、旭町医院の 堀元進先生の講義を拝聴した。講義のタイトルは「札幌市内の地域医療」である。

まず、いい塩梅に授業を受けるようにと。いつも診ている患者さんの紹介。札幌医大の臨床実習の様子を紹介。患者さんと一緒に歩むのが医師。分らないところから始まる。腹部触診など正常がわからない。自分の体で勉強する。知識はあるが、実施能力が不足している。診療に親しむことが大切。心電図について講義。心電図を読むときには2つの流れ。リズムの異常か、波形の異常かを読む。

在宅医療の話。場所は変わっても原則は変わらない。脳梗塞後遺症の患者さん。急性期以後の医療はどうなっているのか。リハビリの力は大きい。家が病室になる。家族が一緒に居られる。胃瘻造設患者、気管切開患者、脳梗塞後遺症など慢性期の患者を医師・看護師が支えているのだ。最低限のことはできる。「なんだか具合が悪い高齢の男性」が、ポータブルXPで肺炎と診断。帯状疱疹で脱水になった患者さん。褥瘡への対応。在宅医療の機械がすごく進歩した。出張入浴もある。電動車いす(補助制度で買える)。

「患者に希望を与える」。思いやり。医師会館でピアニストを呼んで、一人の患者さんのためにコンサートをした。ALS患者は呼吸筋麻痺で気管切開。喀痰吸引が問題となる。パソコンでコミュニケーションする。旅行が好きな患者を沖縄まで連れていった。医療者が患者の思いに寄り添うことが大事。

「患者さんの思い」を汲み取る。胃瘻、気管切開、肺がん、甲状腺がんで苦しむ患者さんのビデオを供覧。大学病院の医師を受診し、化膿性頚椎炎だったのにホットパックを処方された。患者さんから学生へ:面子を捨てて素直になって欲しい、患者のちょっとした言葉に耳を傾けて欲しい、とかすれた声で切々と訴えた。

「医師の眼」を広く、深く、遠くまで。ネパールの人々の生活している写真を提示。洗濯場で飲料水をとる。腹部膨満の患者の原因は寄生虫や細菌が多い。病院に行くことができない人も多い。骨折患者の牽引は建設用のブロックを使っている。

学生へのメーッセージ:やるべきことをやり、目標を見失わず、初心を忘れずに努力を続けるべし。試験に落ちるな!夢はその先にある。現代社会は知識が増えたが、知恵が減ってきた。一個一個バラバラなものを積み上げたもの。知恵:導きだされ、応用のもとになる。人間は部分よりなるが、全体として生きている。医師は、「基本」を実践しながら「応用」を身につけてゆく仕事である。だから、焦らず、ボチボチと。何よりも大切なことは楽しみを持てるように夢(「志」)をもつこと。(山本和利)