札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年12月13日火曜日

地域医療と救急医療

11月8日、「地域医療と救急医療」について4年生に講義しました。

今回の講義の目標を三つ挙げます。
□ メディカルコントロール(MC) の意義を理解する
□救急救命士、特定行為を理解する
□東日本大震災のおけるMCの実例

病院前救護におけるメディカルコントロール(MC)とは、地域全体を1つの医療機関とみなして、医療機関内と同様の仕組みで傷病者に提供する医療サービスの安全と質を保証することです。

これにかかわる医師は、医療関連行為や医療機関選定に関する監督的な責務に加え、教育、危機管理、質の改善対策、財源確保などについても関与します。特に、医療関連行為と適切な医療機関選定については中核的な業務(コア業務)と位置づけられ、通常、以下に示す一連の作業を繰り返します。
① プロトコル作成(処置、搬送手段、搬送先等に関する)
② オンライン指示
③ 実施した結果についての評価、医学的分析(検証)
④ プロトコル・システムの修正。病院前救護を担う者に対する再教育
また北海道のような過疎・広域過疎地域のメディカルコントロール(MC)の工夫について三つを挙げます。

□ 過疎地域は医療資源が乏しいため、限られた医療資源を活用してMC体制を構築する必要があります。
□広域過疎地域にあっては、地域MC協議会が地域救急における中枢的役割を担う必要があります。
□地域MC協議会の連携や都道府県MC協議会による調整機能が必要です。

以上、地域全体をひとつの医療機関としてとらえ、地域特性に応じたプロトコルを作り 、MC協議会を通して多職種で「顔の見える関係」を構築することが大切であると考えます。(助教 河本一彦)