札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年12月21日水曜日

12月の三水会

12月21日、札幌医科大学において三水会が行われた。参加者は13名。稲熊良仁助教が司会進行。初期研修医2名、後期研修医3名。他:8名。

研修医から振り返り5題。
ある初期研修医。1カ月の地域医療研修を報告。気温マイナス24℃になることもある診療所(2名体制)で研修。そこは電子カルテが導入されている。今回は写真を中心に発表。ケア会議(支援計画書)、往診、予防接種に参加。消防署の職員と忘年会。大震災被災地への支援内容の報告会に参加。1カ月に800名を診察している。病院とは違った学びがあった。

ある研修医。1カ月間の受け持ち症例を報告。マスクをした患者が実は顔面神経麻痺であった。咽頭炎の患者に抗菌薬を処方すべきか。孫が手足口病で発疹が前腕に出現。

アルコール離脱で困った59歳男性について振り返り。黒色便、吐血。便まみれで倒れていた。Hb;4.5g/dl、AST>3000,K:7.5mEq/l、BUN;120,BS:500mg/dl。緊急内視鏡で静脈瘤からの出血と診断。一般病棟に移ってから異常行動が出現。インスリン導入。精神科にコンサルト。その後も攻撃的な発言が続き、最終的に強制退院となった。
コメント:ウエルニッケ脳症になっていて、認知障害になっていないか。肝硬変の糖尿病管理は難しい。

ある研修医。マイコプラズマ肺炎が多い。組織球性壊死性リンパ節炎を経験。アルコール誤飲した2歳児(体重10kg、兄弟が指切断、虐待の疑い)。

28歳男性。咽頭痛、発熱。扁桃腺に白苔あり。セファロスポリンで症状軽快。その後、同様の症状が再発。WBC;17,000,CRP:7.0 ,抗菌薬で軽快。その後、頻脈で受診。WBC;27,000。CRP;3.0、βブロッカーで対応。画像検査で異常なし。この原因は何だろうか?

ある研修医。壊死性リンパ節炎を経験した。

19歳女性の右背部痛が5時間持続。尿管結石の既往。CVAこう打痛あり、尿潜血反応陽性。エコーで尿路に結石なし。ここで尿管結石と考えて対応した。その後、発熱が出現し腎う炎と診断した。抗菌剤で対応し、解熱して退院となった。病歴に影響されて、腎う腎炎の診断・治療が遅れてしまった。身体所見を重視すべきであると思った。
コメント:発熱が出てから抗菌薬治療で、問題ないのではないか。腎う腎炎の診断には問診と身体所見だけでよい。

ある研修医。家族に問題を抱える甲状腺未分化癌。刃物を振り回す幻覚患者に対応。糖尿病があり、体重コントロールができない透析患者。

ある研修医。腹痛、低血糖の2歳児。水痘が流行っている。抗ウイルス薬は原則使わないが、一応、そういう薬があることを母親には説明する。溶連菌感染症、伝染性紅斑。
子どもを診るのが怖くなくなった。流行性耳下腺炎を診たかった。乳幼児健診を行った。母親の悩みに答えるのが難しい。


今回はその後に地域医療合同セミナーに移動したため、中途で退席となってしまった。
前回に引き続き、様々な症例が提示され、議論も盛り上がった。受け持ち症例をエクセルにまとめて提示する方法を定着させたい。(山本和利)