札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年4月1日木曜日

甲状腺機能異常


4月1日、プライマリ・ケア・レクチャーシリーズにおける今年度のトップバッターとして「甲状腺機能異常」の講義をした。TV会議は始まるまで緊張する。うまく繋がるかどうかも心配のうちの一つである。今回はバセドウ病、橋本病を中心に話をした。詳細はホームページからダウンロードしていただくとして、以下に臨床に役立つclinical pearlを示そう。


甲状腺機能亢進症
・不安を訴える患者の鑑別診断に入れる。
・Graves’ diseaseが一番多い 
・高齢者の潜在性機能亢進症では心房細動と骨そしょう症のリスクが増す。

甲状腺機能低下症
・倦怠感を訴える患者の鑑別診断に入れる。
・アキレス腱反射をする
・非特異的な症状が多い/まれに精神症状を呈する
・橋本病が一番多い
・TSHが正常なら否定できる
・甲状腺痛の原因の一番は亜急性甲状腺炎
・妊婦では甲状腺補充量が増す
・潜在性機能低下症を治療するかどうかは意見が分かれる
・冠動脈疾患患者のT4補充療法は慎重に行う

甲状腺機能全般
・甲状腺疾患を疑ってスクリーニングをするときはTSHで行う
・確定、除外をするときにはFT4を加える
・薬剤(利尿薬、ホルモン薬、抗けいれん薬等)の影響に注意を考慮する
・画像診断はめったに用いない
・結節病変には吸引細胞診が役立つ
(山本和利)