札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年4月19日月曜日

臨床実習前学生の診断に関する思考は論理的でない

49日、前回の講義内容をどれだけ理解しているかを授業で評価してみた(97名)。

®   47歳男性。労作時の胸焼けで受診した。安静にしたり、ゲップをしたりすると治る。この症状が3ヶ月間続いている。

®   放散痛なし、息切れ、動悸なし

®   安静時には起こらない。

®   食事・食べ物と無関係

®   腎血管狭窄性高血圧でACE-I,βblocker, 利尿剤を内服

®   喫煙者

®   父親が49歳時に心筋梗塞で死亡。母親・3兄弟のうち2名が心筋梗塞

(身体所見:省略)

これについて「労作性狭心症」を想定して以下の表を埋めてもらった。(簡便検査の感度65%,特異度89%とした)

症例

 

検査前確率

 

検査陽性時検査後確率

(直観)

検査陰性時検査後確率

(直観)

検査陽性時検査後確率

(計算で)

検査陰性時検査後確率

(計算で)

最終的な確率

 

その結果、診断に関する学生の問題点がいくつか判明した。

1.     検査前確率を正しく設定できない

・低く設定する

・計算をしない場合、陽性時、陰性時の検査後確率の振れ幅が小さい

2.     計算をしない場合、簡便検査が陽性になったとしても検査後確率を上げない

3.     計算間違い:特異度からみ

4.     検査後確率の計算ができない

5.     画像や心電図の結果を陰性か陽性かに正しく判断できない

6.     折角計算で求めた結果を最終結果としない:勝手に調整する

7.     理解不能な回答

授業の質を上げながら、評価の結果を研究として発表してゆきたい。