札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年4月23日金曜日

オッズと尤度比を用いて検査後確率を求める

 414日と21日の授業では、オッズと尤度比を用いて検査後確率を求める計算法を解説した。

ここでは確率をオッズに変換し、三群以上に分類したデータから尤度比を用いて計算する。検査後確率を計算で求めるためには、オッズ(odds )と尤度比に置き換える.覚えるべきことは、検査前オッズ×尤度比=検査後オッズという式である。

患者Aさんの労作性狭心症の検査前確率を50%と想定し、負荷心電図でST1.6mm低下したとする.   

負荷心電図の真陽性率、偽陽性率、尤度比

負荷心電図のST低下

狭窄のある者の%

狭窄のない者の%

尤度比

0.0-0.50mm

14.3

62.5

0.23

0.5-0.99mm

20.8

22.7

0.92

1.0-1.49mm

23.3

11.0

2.1

1.5-1.99mm

8.8

2.1

4.2

2.0-2.49mm

13.3

1.2

11.1

>2.5mm

19.5

0.5

39.0

Aさんの検査前確率は0.5としたので、検査前オッズは0.5(1-0.5)1である.負荷心電図はST部が1.6mm低下したので尤度比は表から4.2であることがわかる。検査後オッズ=検査前オッズ×尤度比なので,1×4.24.2となる.これを確率に直すと検査後オッズ/(1+検査後オッズ)の式に当てはめ,4.2(1+4.2)0.81となる.はじめは50%と考えたが,検査の結果の可能性が81%ということになった.

 これに慣れると暗算できるので便利である。数とこなして是非慣れ親しんで欲しい。(山本和利)