札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2012年1月27日金曜日

介護保険

1月27日、FLATランチョンで松前町立松前病院の八木田一雄先生の講義を拝聴した。講義のタイトルは「介護保険制度」である。参加学生は3年生が3名。

高齢者社会福祉制度の流れを紹介。
高齢化率(65歳以上の比率で決める)1960年代に開始。1970年代に老人医療費が増大。高齢化とは:65歳以上の高齢者人口の総人口に占める率。高齢化>7%。2901万人。日本は23.1%。医療費は9.1%。北海道:一人当たり103.7万円(全国第2位)。高齢者は循環器系、癌、筋骨格系が多い。一人暮らし高齢者が増えており、認知症を有する高齢者が増加している(250万人)。特別養護老人ホームの入所申し込み者の状況:42万人が待機している。施設に入所率4%。施設が不足している。家族の負担が大きい。環境が整備されていない。

介護保険制度は2000年から導入された 5番目の社会保険制度である。市町村に申請し、訪問調査+主治医意見書を書いて貰い、認定審査会で要介護認定をする。被保険者は40歳以上の国民。第1号保険者:65歳以上。保険料は年金から天引きする。第2号保険者:40-64歳。給料から天引き。事業主が半分負担。3年が一サイクル。3年で見直し。総費用が上がっている。市町村によって保険料が異なる。全国平均毎月4,160円。高福祉なら高負担となる。

手続きとして
・申請
・心身の状態調査
・必要な介護労力の審査:8段階に区分される。

要介護状態によって支給される限度額が異なる。

サービス
・居宅サービス:訪問看護、訪問入浴、通所介護、短期入所生活介護、
・地域密着型サービス:グループホーム、入所サービス、1カ月3万円弱。福祉用具貸与。

利用者は1割負担、食費、居住費は対象外。施設に入所すると自己負担が月10万円はかかる。

地域包括支援センター、ケア・マネジャーが重要。訪問調査+主治医意見書(傷病、心身状況、特記、等を記載する。介護の手間、ケアプランに役立てる)、認定審査が必要となる。要介護認定、要支援認定。
介護支援専門員(ケアマネジャー)の業務;毎月のケアプランを作る。一人39人まで担当できる。モニタリング、連絡の調整。

在宅療養を可能にする条件:入浴や食事の介護、介護に必要な用具、訪問診療、等。384万人が利用。

サービス受給者数の推移:脳卒中、認知症が多い。主介護者は配偶者、子、子の配偶者。女性が多い。

学生からの質問:年金はいくらもらえるのか?基礎年金は月に3万5千円。生活保護者は月10万円。施設入所に10万円かかる。

今回は他の大学企画と重複したため、参加者が少なかった。地域医療の実践には不可欠な知識である。講義終了後の質問コーナーで、年金についての学生の質問で盛り上がった。(山本和利)