札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2012年1月11日水曜日

水曜日のエミリア

『水曜日のエミリア』(ドン・ルース監督:イタリア 2010年)というDVDを観た。

主演は『ブラック・スワン』のナタリー・ポートマン。「新生児突然死症候群」を扱っている。

水曜日は小学校に子どもを迎えにゆく日。それが日本語タイトルにも関係している。後妻に入った女性は、小学生の継母でもある。家の中に赤ん坊のいないベビーカーが置かれている。それを小学生が中古品市場で売りたいと言い出し、揉める。どうも出産直後に自分の赤ん坊を亡くしているようだ。

話は遡って、夫との慣れ染めの話。ハーバード大学を卒業して新人弁護士として入社。一緒に仕事のために宿泊した際に、同僚の男性と不倫関係に陥る。そして妊娠、結婚。問題は8歳になる連れ子の男児。いつも喧嘩ばかりしている。乳頭不耐症という理由で食べさせてもらえなかったアイスクリームを食べさせてあげて男児との関係がやや改善する。男児にとっては、父親と離婚した母親との関係が微妙である。受験した私立小学校すべてに落ちたため、この実の母親に避難される。そんなとき、嫌がる継子をスケートにつれてゆく。中華料理を一緒に作る。過保護の母親を子どもから遠避ける。少しずつ良好な関係が育まれてゆく。

映画は進行し、過去がフラッシュバックされる。赤ん坊は3日で死亡。赤ん坊の写真を見る。赤ん坊を暖かく見つめる小学生になる継子の写真。

このトラウマを時が癒してくれるのか。赤ん坊はなぜ死んだのか。スピリッチャルな疑問である。追悼ウォークに家族で参加するが、ここで軽蔑していた父親が出てくる。様々な軋轢の中、エミリアは離婚の危機に陥る・・・。

家族の中で、些細なことがいつも起こっている。家族とは何かを考えさせてくれる映画である。(山本和利)