札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年7月12日火曜日

感情労働


7月3日、札幌で開催された2011年度3回プライマリ・ケア連合学会で、当教室にて研修をされた山上実紀さんが、一橋大学の宮地尚子教授の指導を受けた研究『医師が「冷静さ」を身につける過程に関する考察』を発表した。

要点
冷静さを保つための方法
1)患者との距離化
 医師たちは、1人の患者に深く関わらないことによって冷静さを保っている。
2)自らの感情の抑圧
 医師たちは、自分の感情を抑えることによって、冷静さを保とうとしている。

「冷静さ」を学習する構造
1)暗黙の学習
 冷静さという感情規則は公には教育されず、医師たちの暗黙の学習に
 よって習得されている。
2)医師の役割規範
 プロは患者に巻き込まれない、という役割を自ら確認すること、また、感情を抑えなければ医師としての役割を果たせない、という役割規範が冷静さを学習する医師個人を支えていた。
3)職場の特性
 一人の患者にゆっくり関われない業務実態、医学的知の優先、責任の分
散、という職場の特性が、冷静さを保つための環境的な要因となっていた。

結論。
○医師は冷静さを保つために、「患者との距離化」「自らの感情の抑圧」という2つの方法をとっていた。
○感情の管理は、公に教えられるものではなく、医師の役割規範と、職場の特性によって支えられていた。

今後、注目されるであろう研究領域であり、内容も素晴らしいと次期大会長となる丸山泉先生にお褒めの言葉をいただいた。(山本和利)