札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年11月16日火曜日

FLATインタビュ

11月15日、北海道新聞の記者からの申し出があった特別推薦学生(FLAT)を対象にしたインタビュに、オブザーバー参加した。学生7名、北海道新聞記者6名が参加。各自自己紹介後、道新の仕事の紹介。

「羅臼の例に見る地域医療の困難」という新聞記事をまとめたものを提示。「2008年、羅臼診療所が一人から二名になった。1年で1億7000万円の赤字。6.6億円の不良債務。自己都合で1名退職。2か月内科医が勤務。その後、内科医が赴任したが18日間で退職。根室地区は10万人当たり医師91名。その後、2010年3月、6000人の町で無医村となる(働けば働くほど患者が集まり、疲れてしまった。行政とのコミュニケーション不足。宿舎の水道管破裂を2カ月放置)。非常勤医師による週3日の体制。地域医療を守る条例を作った。道内の一人勤務医療機関は7か所。」これを前振りとして、意見交換開始。

リーダーの高石さんがFLATの活動を紹介。ランチョンセミナー、留寿都・幌加内のサマーキャンプを紹介。フォトボイスによる地域診断。地域に積極的に赴いている。

「利尻の実習で印象に残っていること」な何かという質問が記者からあった。社会的な入所が多かった。住民の地域への愛着が強いことがわかった。医師が昆布取りを手伝っていること。医師が住民の生活を見ている。医療スタッフ不足を実感。地域に魅力がないと医師は行かない。地元も盛り上げてほしい。時間をかけて島の街並みに触れることができてよかった。「地域で医師としての自分の役割を見つける」という医師の言葉。

その他地域医療に関する話題。自主的にいろいろな地域に実習に行った。地域に行くことが大事。地域医療合同セミナーでチーム医療が体験できる(保健福祉の視点から俯瞰できる)。地域で保健師と一緒に保健福祉をしたい。家庭医・総合医を目指したい。道東のへき地で活躍した道下先生を目指したい。住民の生まれたときから死ぬまでを見たい。日常疾患を地域で診れるようになりたい。入学してから地域医療に触れる機会が多く、地域医療・公衆衛生活動に魅力を感じた。一人ひとりの顔と名前を覚えて活動できる。人との出会いを大切にしたい。地域医療をやりたい気持ちが強まっている。人のために役に立ちたい。

「地域で生活するのにどういうものが必要か?」について2班に分かれてディスカッションが行われた。
学生の意見。行政が暖かいと医師が働きやすい。保健師との連携が重要。食べ物も重要。医師も普通の人間であるという住民の理解が必要。対話が必要。地元の暖かい歓迎が必要。医学の進歩についてゆくネット環境が必要。

学生一人一人が地域医療について真剣に考えて日々を過ごしていることを再認識する貴重な機会となった。彼らの情熱をスポイルしないようなシステム作りを推進したい。(山本和利)