札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年11月1日月曜日

地域医療の実践

10月29日、幌加内町国民健康保険病院の森崎龍郎先生の講義を拝聴した。講義のタイトルは「地域医療の実践」である。

まず、自己紹介をされた。横浜生まれ。富山医科薬科大学卒。漢方医。2010年幌加内町国民健康保険病院に赴任。幌加内町の紹介。3つの日本一。そばの作付面積。日本最大の人造湖(朱鞠内湖:ワカサギ釣りができる)。最寒記録-41.2℃。人口1,745人、世帯数853(町として最小)。高齢者が多い。小学校1年生は8名で全員女子。病院の紹介。町内唯一の医療機関。医療療養13床、介護療養29床。2年後に建て替え予定。平均入院患者28.6名。平均外来患者数43.5名。常勤医師2名、非常勤医師1名。佐賀大学総合診療部が支えて来た。来年度からは二人体制となる。

日々の診療。外来:超音波、内視鏡検査。訪問診療。入院;回診、病棟業務。病棟管理。予防医学。保健福祉医療連携。産業医。

入院病棟:在宅生活が困難な方。脊椎損傷。脳卒中後遺症による胃ろう造設者。末期がん患者。
外来診療:高血圧、糖尿病、高脂血症。OA.認知症など。慢性疾患が複数組み上がった患者が多い。それに急性疾患が加わる。
当直:自宅待機である。2週に1件の救急車。関節脱臼。大腿骨骨幹部骨折。結膜浮腫。

プライマリ・ケア医として
1. まずはすべてに対応する。2.自分のできることをする。シンプルに。スーパードクターである必要はない。

道北ドクターヘリ事業:旭川日赤病院が基地。2回要請している(交通事故、脳卒中)。悪天候、夜間の対応が問題。

在宅医療:老々介護。認知症同士の介護。カバーする地域の範囲が広すぎる。冬期間の厳しさ。介護スタッフ不足。

出張診療所;4つの診療所。
保健福祉総合センター(アルク):ディサービス、居住部門、老人福祉寮。ふれあい福祉村構想。地域ケア会議の紹介。

予防接種事業:未就学児の任意予防接種をすべて全額助成。中学生女子の子宮頚がんワクチン全額補助。インフルエンザワクチン、高齢者の肺炎球菌ワクチン助成。

半年経って感じること:患者さんの顔が見える。保健・福祉・救急の連携がスムース。旭川市が比較的近いので助かっている(高度医療・専門医のありがたみがよくわかる)。外傷が多い。人材不足(医師、看護師、介護士、ヘルパー、給食婦、等)。高齢者の生活。意外と子供が多い。

最後に、幌加内そば打たん会、野菜作り、スキー、ワカサギ釣り等、田舎の生活の魅力を紹介してくれた。(山本和利)