札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年11月4日木曜日

在宅医療

11月2日、寺田豊助教が「在宅医療」の講義をした。

写真を見せながら在宅診療を語る。まず、在宅医療とは何かを説明。在宅医療の歴史として、ゆきぐに大和病院を設立した黒岩卓夫氏を、病院がひらく都市の在宅ケアを始めた増子忠道氏を紹介した。

医療資源について。日本は病院で患者さんを診る文化を作ってしまった。患者の受診回数、医師一人当たりの診察回数、急性期病床の平均在院日数は世界一である。

在宅医療は。医療資源に対して新たな視点を生み出す。早川一光氏を紹介。「自分の体は自分でまもる」1980年、「わらじ医者京日記」で第34回毎日出版文化賞を受賞。

家族と地域支援。かかりつけ医を地域医療の中心に据える。在宅医療と総合医。社会的入院から地域での在宅医療の強化、在宅で看とりができる制度の展開。在宅療養を可能にする条件がある(家族の協力、入浴・食事介護、自宅の改築、緊急時連絡体制、通院手段の確保、定期的訪問、療養指導、等)。

病診連携。循環、連携できる医療システムのカギとなるのが在宅医療。Uターン(紹介元へ)、Iターン(病院の患者を適切な診療所に)、Jターン(紹介元とは別の診療所に)。オープンベッドシステムを広げる。

ある医療改革者の遺言。今井澄氏の「聴診器を温めて」を紹介。諏訪中央病院での活動を紹介。鎌田實氏にバトンタッチ。その中の言葉に「患者の胸に冷たい聴診器を当ててはならない。」がある。寺田氏は私たちがこの志を引き継いでゆくのだと力強く宣言した。

最後に家庭医のバイブル「A textbook of Family Medicine」(Ian R. McWhinney)を紹介し、学生に自分なりの在宅医療の定義を書いてもらった。

その一部を紹介する。「つなぐ医療」「置いてきぼりにしない医療」「家庭・家族の幸せをつくるもの」「人が一番自然な状態で病気と付き合っていける方法」「病院サービスとその人の人生を繋ぐ架け橋となること」「最小の医療資源でより大きな満足をもたらすことができるもの」「人生のQOLを高める医療」
学生はしっかりと考えていることが窺い知れた。(山本和利)