札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年8月20日土曜日

携帯電子教科書の活用

ある研修病院で研修医と病棟受け持ち患者についてカンファランスを持った。

リウマチ治療中の再生不良性貧血の高齢女性。B型肝炎の既往がある。ステロイドや免疫抑制剤を使用してよいかどうか?携帯している電子教科書であるDynaMedには複雑すぎて記載なし。

肝硬変でアミノレバン、糖尿病でインスリン加療中の中年女性に起こった意識障害。血糖降下剤も複数服用しており、食事が十分にとれていないこと、肝硬変があり、血糖値も高くはないことから、低血糖発作であろうとコメントした。

側頭部痛、視力低下、赤沈>100/hで側頭動脈炎と診断された高齢女性。DynaMedで診断について確認。米国リウマチ学会の基準5項目。1)50歳以上、2)新規発症の頭痛、3)側頭動脈の異常所見、4)赤沈>50/h、5)側頭動脈生検の異常所見。3つ以上で感度:93.5%、特異度:91.2%である。この方はすべて揃っていた。治療は40-60mg・日のプレドニン内服を2-6週間、とある。

喘息、drop foot、赤沈>100/hでChurg-Strause syndromeと診断された高齢女性。ガンマグロブリンを使うかどうか?DynaMedで治療の項目を見ると、corticosteroidまたはそれにcyclophosphamideを追加する治療が主体であり、初期の血漿交換は有効ではない、とある。ガンマグロブリンの静注は1990年代に数件のケースレポートがあるのみでエビデンスとして確立していないことがわかった。

研修医と一緒に仕事をするときにはDynaMedを入れたiPadを持ってゆく。その施設でWIFI接続ができると文献にも当たることができる。研修医と様々な疾患を抱える患者さんについて話をするとき、指導医には大変便利なツールである。(山本和利)