札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年6月6日月曜日

布川事件

『ショージとタカオ』(井手洋子監督:日本 2010年)という映画を観た。 今年観た中で一番印象深いドキュメンタリー映画である。

2011年5月24日に布川事件再審無罪が言い渡された。冤罪で二人の男性の44年間もの長い年月、自由が奪われた。東日本大震災の影響で裁判日が延期されたため、判決が出るのを待ってこの映画の上映期日を延ばしたそうだ。

自堕落な生活を送っていた20歳の青年二人が別件で逮捕され、29年間牢獄生活を送ることになる。1996年の仮釈放で刑務所を出てきたところから14年間にわたり二人を撮り続けた記録である。本人も語っているが「もし冤罪で牢獄に繋がれなかったら、ヤクザな生き方のせいでとっくに誰かに殺されていただろう」と振り返っている。そのような二人が、仮出所後、汗水たらす仕事や日々の何気ない風景や出来事に喜びを見出し、配偶者を得て、子育てや冤罪活動家として生きがいを見出してゆく。

彼らを手弁当で支え続けた人々の姿が清々しい。本当にいい顔をしているのである。艱難辛苦をものともせず、明るく生きる姿に心打たれる。

その後、検察は控訴せず、無罪が確定した。(山本和利)