札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年1月5日水曜日

文学のレッスン

『文学のレッスン』(丸谷才一著、新潮社、2010年)を読んでみた。編集者を聞き手にした対談なので読みやすい。

本書の内容は「短編小説」「長編小説」「伝記・自伝」「歴史」「批評」「エッセイ」「戯曲」「詩」という章立てになっている。

俳句「古池や 蛙飛びこむ 水に音」の解釈は二つあるそうだ。句切れの作用で、その光景を見たという解釈と、思ったという解釈の二つである。

著者の文学賞の選考基準は3つだそうだ。1)作中人物、2)文章、3)筋、である。著者はトルストイを評価していない。作中人物に魅力がないことが原因のようだ(例としてアンナ・カレニーナを挙げている)。その点、ドフトエフスキーの作中人物はみな個性的である。
歴史書にしても著者は『地中海』『年代記』『史記』『太平記』『大日本史』等をよく読んでいて博学である。

日本の随筆で必ず出てくるのが内田百閒。面白いし、すばらしいが、その内容の分析が難しく、意味が解体しているそうだ。その類似でゆくと古今亭志ん生だと。語ってゆくうちに意味が解体してそこから笑いだけが迫り出てくるという傑作。すばらしい随筆を書く者を挙げているが、その中に医師の中井久夫氏の名前があがっている。

明治維新以降最高の劇作家は井上ひさし氏であると述べている。

西洋に詩には韻律がある。漢詩にも韻律がある。

文学論は素養がないとついてゆけないことを痛感した。本書を読んで、古今亭志ん生の落語を聞きたくなった。(山本和利)