札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年5月15日日曜日

白いリボン

『白いリボン』(ミヒャエル・ハネケ監督:ドイツ 2009年)という映画を観た。 ミヒャエル・ハネケの映画は、人間の邪悪さを描いている。ファニー・ゲーム(これをリメイクしたファニー・ゲーム・USA)は、観客に邪悪さに耐える1時間半である。そんな彼が2009年のカンヌ映画祭でパルムドール大賞に輝いたのである。

第一次大戦前夜のドイツ北部のとある村を舞台に、医師の落馬事故をきっかけに起きる不可解な事件の数々をモノクロ映像で描き、人々の悪意や憎しみを浮き上がらせている。医師の落馬事故後、いくつかの事件が起こるが、最後までそれらの犯人ははっきりとは示されない。しかしながら、監督はよく見ると犯人はわかると言っている。

様々なジャーナリストがこの映画を観て、ナチスの台頭を予見させる等の深読みをして絶賛している。深読みができるということが、良い映画の条件なのかもしれない。タイトルにある「白いリボン」は、牧師が子供たちによい子でいるように願って“白いリボン”の儀式を言い渡し、その結果子供たちを束縛する道具として作用する。建前でよい人間になることを子供たちに求めながら、裏で不徳をなす大人たち。それを告発しているということなのだろうか。

ミヒャエル・ハネケの映画は、怖いモノ見たさで病みつきになる。「71フラグメンツ 」「ファニー・ゲーム 」「隠された記憶」もDVDで観てはいかがでしょうか。(山本和利)