札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年5月6日金曜日

科学的な診断思考

5月6日、EBMの診断編の二回目。前回の講義内容の復習をした。まず検査前確率を想定して、検査の(感度・特異度)を用いて検査後確率を計算してもらった。

後半は『Learning Clinical Reasoning』(Jerome Kassirer著lippincott Williams & Wilkins, 2010年)から2症例を呈示して、まず検査前確率を想定してもらってから、検査の(感度・特異度)を用いて検査後確率を計算してもらった。

その1症例
47歳男性。労作時の胸焼けで受診した。安静にしたり、ゲップをしたりすると治る。この症状が3ヶ月間続いている。
放散痛なし、息切れ、動悸なし
安静時には起こらない。
食事・食べ物と無関係
腎血管狭窄性高血圧でACE-I,βblocker, 利尿剤を内服
喫煙者
父親が49歳時に心筋梗塞で死亡。母親・3兄弟のうち2名が心筋梗塞

診断に関する学生の問題点として、検査前確率を正しく設定できない。この症例では低く設定しているものが多かった。画像や心電図の結果を陰性か陽性かに正しく判断できない学生も少なからずみられた。
最後に、オッズと尤度比を用いて、検査後オッズを計算する方法を紹介した。

学生の感想の中では、検査前確率を正確に想定することの重要性とオッズと尤度比を用いた計算法の便利さを挙げている者が多くみられた。(山本和利)