札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年5月7日土曜日

臨床推論力向上を目指して

5月7日、札幌医大4年生に行っているEBM診断編の講義内容を、診療支援をしている病院の初期研修医3名に講義をした。まず検査前確率を想定して、検査の(感度・特異度)を用いて検査後確率を計算してもらった。

『Learning Clinical Reasoning』(Jerome Kassirer著lippincott Williams & Wilkins, 2010年)から出題した症例への回答が興味深かった。症例が実際のものであり、情報や検査結果が曖昧なためか、検査前確率の想定が研修医によって大きく異なることがわかった。2年目研修医の方が1年目研修医より優れていた。

研修医も実際の症例では、検査前確率を正しく設定できない。この症例では低く設定する傾向が見られた。心電図の結果を陰性か陽性かの判断も不確かであった。

最後に、オッズと尤度比を用いて、検査後オッズを計算する方法を教えた。ベイズの定理から検査後オッズ=検査前オッズ×尤度比、という式を導くプロセスを紹介したところ、数学に強い研修医にいたく感心された。

少人数での講義は、反応がはっきりしていて大変面白く、こちらが想定していない回答が沢山出て、今後の講義をするうえで大変に参考になった。(山本和利)