札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年3月1日月曜日

EBM & NBM in Kagoshima

227日、第5回鹿児島県出身自治医大(KJS)研究会に呼ばれて講演をさせてもらった。これまでは講演者が得意とする専門領域の講演が多かったようだが、今回は「EBMとNBM」と題して、医療のあり方について講演した(一部、糖尿病治療の最近の動向について言及した)。医療を科学的に展開することは大事であるが、エビデンスは日々刻々変化するものである。最近の報告では約5年間で半分のガイドラインが書き換えられると言われている。様々な人間を対象とした臨床研究ではしっかりとした研究計画に則った研究であってもその成果の25%しか説明できないことなどを解説した。何でもできる・知っているのは無理であり現実的ではなく、それよりも患者さんの問題についてその場で即答できなくても、次回の診察までに調べて答えることが大事であることを強調した。

講演の後半は、すべてが科学的に対応できる訳ではないので、人間的・物語的に対応することが大事であることを、事例を挙げて解説した。

講演後、「日頃感じているが漠然としていたものを言葉にしてもらって、自分たちのやっていることが間違っていなかった。自信が持てた。」という意見をたくさん頂いた。

 懇親の席で、自分自身の得意領域についてだけ科学的に対応し、それ以外の領域については患者さんを診ることをしない医師が多くて困っているという声をたくさん聞いた。医療のあり方について考え直さなければいけないときがきているように思える。

1泊二日の日程で、温泉・鹿児島料理・庭園等、も楽しむことができた。鹿児島県出身の自治医大卒業生の皆さん、呼んでくれてありがとうございました。(山本和利)