三月第三水曜日に開催したニポポ・ポートフォリオ発表会の様子を報告する。今回は新潟大学の5年生が見学に見えたので参加してもらった。
ニポポ三年生から「複数の疾患を持つ患者(糖尿病、完全房室ブロック、心筋梗塞、心不全、腹水、腎不全)に関する前医とのコミュニケーションの取り方について」の発表があった。透析を施行しないと前医と決めた状態で紹介されたが、その後腎不全、心不全が進行した患者である。このような患者・家族にどのようにアプローチするかについて活発な討議が交わされた。別の三年生は「3年間のニポポ研修についての振り返り」をしてくれた。3年間、お世話になった3つの研修施設それぞれについて建設的かつ奇譚のない意見を述べてもらった。このような意見を活かしてプログラムがさらに向上するよう努力してゆきたい。二年生から「誤嚥性肺炎を繰り返す患者の治療選択について」の報告があった。患者の状況を説明した後、文献検索したデータを示して一般論を述べ、その後このケースについて考察し、最後にクリニカルパールとしてまとめてくれた。クリニカルパール:早期に関係者全員を集めて協議をすること、遠方から来る親戚は要注意。1年生から「複数疾患(COPD,糖尿病、心房細動等)を持つ患者のケアについて」の報告があった。いつも悩ましいケースを発表する研修医が生物医学的な面をスマートにまとめていた。さらに充実させるために患者背景とエンパワーメントを上げるための方策を考察してはどうかという意見が出された。別の一年生から「腎盂腎炎による敗血症疑い患者を血液培養検査までしながら帰宅させたケースについての振り返り」が報告された。尿路感染症を疑ったのに尿所見に乏しかったケースである。その臨床推論の仕方について様々な意見が出された。クリニカルパール:検査所見よりも病歴・身体所見を重要視すること、忙しいと判断力が鈍る。学生さんから「疾患だけでなく患者背景を含めて議論される内容が新鮮であった」という意見をもらった。
終了後、見学に見えた学生さんを含めてススキノの海鮮料理屋での慰労会へ移行した。(山本和利)