札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年2月23日火曜日

地域推薦枠医学生の卒前・卒後教育をどうするか?(2)

高知編

高知県での取り組みを医師確保推進室の家保氏が報告した。若手医師の減少が著しく25%減少している。全国でみると802名が 600名に減少しワースト2である。在学生の占める割合は高知県出身者が22%である。医師数は2,000名。大学と行政の連携はよい。県内の教育関連病院は岡山大学、徳島大学系列。県外の大学が引き揚げられた病院が苦しい。高知大学学生の県内への定着を目指したいと。県内高校生のみを対象として地域枠を選抜したら2名であったため、四国瀬戸内に広げ9名まで伸びた。AO入試で30名入学しており、これは二つ目の地域枠と言えなくもない。地元高校へのPRを重視している。高知大学の医局に入ると償還免除としており、専門選択は自由である。政策として派遣型ではなく学生と多く接触できる養成型寄付講座を新設した。学生に高知県に親近感を持ってもらうことが一番の狙いである。この講座に県から年間2,500万円を市町村から1,000万円を負担している。「病院GP養成」専門医と総合医とがクロスオーバーする病院を企画中(安芸地域県立病院)であると。

次に高知大学医学部家庭医療学講座の阿波谷教授から報告があった。現在、奨学生が28名いる。これだけでは医師・診療科の地域偏在は解決しないと思っている。地域枠制度は教員の負担が重く、学生にも戸惑いがあるようだ。自治医大と全く同じではない。すべての学生に地域医療教育をすることが重要であると思っている。地域枠・奨学生をサポートし、自由な学習機会(家庭医道場を6回、県外からも参加希望者あり)を与えたい。1年、3年、5年生に実習をすることにした。大学外の実習が学生には一番評判がよい。5年生のプライマリ・ケア実習も好評である。地域枠学生等アドバイザー制やメーリングリストを活用している。幡多地域医療道場、夏期へき地医療実習(自治医大と合同)を通して将来のロールモデルを見せている。仲間意識の醸成、普段から相談できる体制づくりが重要である。大学から車で30分の土佐山へき地診療所を高知大学で指定管理とし、日常はそこで診療に従事している。アウトカムを地域定着率としてよいのか疑問である。地域・行政・大学というオール高知県で努力することが大事であり、「高知大学は本気である」ことを強調された。

阿波谷教授の本気さがヒシヒシと伝わる報告であり、高知県に残ってくれと学生に一度も発言したことがないとおっしゃっていたが、彼をって少なからずの学生が高知県に残ると思われる。「道場」という言葉を家庭医療に結びつけたのはうまいと思った。北海道も負けずに頑張ろう!(つづく)