札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年2月22日月曜日

地域推薦枠医学生の卒前・卒後教育をどうするか?(1)

島根編

219日(金)、東京にある都道府県会館において鹿児島大学離島へき地医療腎育成センター主催で開催された。はじめに主催者挨拶(鹿児島大学)。

島根県での取り組みを健康福祉部の木村氏(私と大学が同窓)が紹介した。島根県は人口73万人。100km以内に医学部が2つある。松江・米子間に医師が集中し、その他の地区との医療格差が拡大している。隠岐の島の産婦人科不足。「呼ぶ」「育てる」「助ける」を合い言葉に活動している。赤ひげバンクもその一つ。へき地医療奨学金を受けている学生は30名。学士入学者5名であり、一人6年間で750万円。新たの奨学生5名枠で新設し、将来計93名の奨学生となる予定。これまでのところ奨学金を受けた卒業生は全員地域へ行っているという。これまでのデータを分析すると入学者数と同数が8年後、島根県で研修していることが予想される。お金で縛っても返されてしまう可能性があるので、学生・研修医への働きかけ、魅力ある研修病院づくり、プログラム作成支援、高校生医療現場体験セミナー、夢実現神学チャレンジセミナー、地域医療研修などで魅力作りをしている。地域医療再生計画の中で、寄付講座を設置し、専門医、総合医を養成し、若手医師が県内で専門医取得できるよう努力している。様々な試みがなされており、島根県の地域医療にかける情熱が伝わるプレゼンテーションだった。

次に島根大学地域医療教育学の熊倉教授からの報告。地域枠学生交流会を行っており、最高学年5年生で総数は50名。米国のWWAMIプログラムを参考にしている。その成功の秘訣は、�地域に愛着・愛情のある者の発掘と選抜、�地域に密着した実践的な地域医療教育、�地域と大学・都市を結ぶ通信システムの構築、である。また山陰と阪神を結ぶ医療人養成プログラム(島根大学、神戸大学、鳥取大学、兵庫医大)で、質の高い専門医、臨床研究者を育成し、大学病院の機能を強化し、地域医療への貢献を図っていく。

総合討論では、行政と大学の連携が重要であることを強調されていた。島根の医療は、大学に頼らざるを得ないのが実情である。島根県では70%が大学からの派遣である。基幹病院と大学の連携が重要であるが、地元基幹病院の院長は旧帝国大学出身者である。行政が主導した地域医療コーディネーター養成の試みについて賞賛の声が多く出た。実態は自治体からの派遣である保健師、看護師、医療大学系卒業生が務めており、半分仕事、半分研究であるそうだ。

「専門医と総合医の養成比率をどうするのか」が大きな話題となったが、各県の事情が異なるため、統一した意見には至らなかった。(つづく)