札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2013年3月4日月曜日

指導医教育WS

32,3日、札幌KKRホテルでの北海道医師会主催の「指導医のための教育ワークショップ」にタスクフォースとして参加した。前日、同会場で打ち合わせ。参加者は21名。今回は第11回目とのこと。

開会、役員挨拶、タスクフォース紹介後、奥村利勝旭川医大教授からオリエンテーション。各グループ内で自己紹介。尊敬する人、好きなTV,死ぬ前に食べたい食べ物などを披露。続いてKJ法を用いての「北海道における医師養成の問題点」を120分かけて話し合われた。最近の医学部教育について(CBT, OSCE)を紹介。北海道医療の特徴、卒後研修の問題点、医局の問題などが選択されて話し合われた。

昼食後、北大の川畑英伸氏のリードで「カリキュラム・プランイング 目標と方略」が行われた。課題として一次救急、医療連携、入院診療に必要な基本的手技、基本的外科手技が選ばれた。90分で、それぞれについての一般目標、個別目標、方略の完成度の高いプランが発表された。

続いて勤医協中央病院の尾形和泰氏のリードで「教育評価とアウトカム基盤型カリキュラム」が行われた。前のセッションで作った個別目標、方略の評価法を作成してもらい、さらにAGGMEの6つのコンピテンシー(患者ケア、医学知識、臨床実践からの学習と質改善、コミュニケーション、プロフェッショナリスム、システムを考えた医療)のうちの一つについての評価法を検討してもらった。コンピテンシーで評価された研修医の方が、医療安全上も安心して雇えそうだ。これがアウトカム基盤型評価とも言えそうだ。

夕食後「北海道における地域医療」と題したナイト・セッションで北海道庁の杉沢孝久医療参事と旭川医大野津司氏が講演された。斜里町立病院で内科を一人で背負っていたときの過酷な体験を話された。一人1分の外来診療を続けた後、入院患者70人を診る。北海道の町立病院は有床で救急が確保されなければならないことを強調された。質疑応答後、20:30近くに第一日の日程を終了し、参加自由の懇親会となった。

第二日目は、朝8;00開始。山本和利のリードで「フィードバックについて」、自己分析能力の高い研修医、生真面目だが気づきの少ない研修医、能力以上に自己評価が高い研修医という3シナリオを用いたロールプレイを行った。

コーヒーブレイク後、野津司氏のリードで「プロフェッショナリスム」を行った。6つのシナリオを用意し、そのうちの割り当てられた2つをグループで検討してもらった。(dutyのないはずの休日の呼び出し、ステロイド筋注を要求するアレルギー性鼻炎患者、転院を勧めても拒否する患者、弁当付きの勉強会に強制的に集積を求める医局、ミスを繰り返す同僚への対応、医療崩壊しても動かない行政)

昼食後、北海道医療大学森谷満氏のリードで「参加者各自のミニレクチャーとそのフィードバック」を行った。私が関わったグループのテーマは、咳できたら結核?、「認知症が進んだ」は身体疾患の検索を、虫垂炎のCT診断、胸痛プラス1の法則、尿道カテーテル困難例、プレゼンテーション法、AMIの主訴は胸痛ばかりではない、消化器の手術、鉄欠乏性貧血を見たら子宮筋腫を疑え、小細胞肺がん、薬物投与量の計算法、循環器救急、心エコーの撮り方、医療費について、先天性風疹症候群、小児科医療の特性、超音波ガイド式内頚動脈穿刺法、ある患者の治療についての振り返り、乳がん治療の流れ、新臨床研修制度とは、であった。それぞれが巧みに白板を使って簡潔に得意ネタを披露された(今回はパワーポイントもあり)。その後、よいプレゼンテーションについて全体討論を行った。

WSの評価を記載してもらった後、参加者全員から1分間感想を述べてもらった。長かったが予想以上に面白かった、指導の大切さを実感した、WSの運営の仕方が参考になった、人間関係について考えさせられた、体系的なフィードバック法を知って生まれ変わって指導したい、地域医療の厳しい現状を知ることができた、指導についての不足する知識がわかった、女性医師の支援にも力を入れて欲しい、指導医に求められる能力に気づいた、積極的に参加できた、という意見が多かった。写真撮影、修了証授与後、散会となった。(山本和利)