札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2011年4月24日日曜日

北海道プライマリ・ケアネットワーク定期総会

4月23日、札幌アスペンホテルにおいて2011年度の第一回理事会と定期総会が行われた。2010年度の活動報告、決算報告、2011年度の事業計画、予算案が承認された。役員選挙がおこなわれ新たに5名の理事が選出され、1名が退職に伴い辞任された。引き続き代表理事は山本が、副代表理事は佐古先生、田村先生が互選された。

続いて第4期生の研修発表会が行われた。ある研修医。1年間で141名を担当し12名が死亡。膿胸の患者。改善なく積極的治療から撤退。どうすれば良かったのか悩んだ。78歳のCOPDの患者。好酸球増多あり。専門医が受けてくれない。試行錯誤しながら対応。たまたま軽快。一過性好酸球性肺炎であった。時間外に発熱で受診した63歳男性。10年前、悪性リンパ腫、MDS。数日前まで肺炎で入院していた。目のかすみとふらつきで受診し、低ナトリウム血症があり、補液で対応。一般外来で輸血と感染コントロールで対応。徐々に全身状態が悪化。あらたに進行胃癌を発見。数か所に転移。告知後、自宅療養を希望。1ヶ月後に再入院。泣きながら胆汁性嘔吐を繰り返す。「無地正月迎えたら一緒にお祝いしましょう」というこの研修医の言葉が患者を勇気づけたようだ。最後は毎日家で過ごした。元自衛官の患者は手で敬礼をしてお別れをした。その後、奥さんが訪ねて来て感謝の言葉を述べられた。
指導医からのフィードバック:彼は、陰で他人に見えないところで頑張っているという評価であった。

ある研修医。2年目の1年間で150名を担当し、10名を看取った。今は地域医療を経験したい。今回は、肺がんターミナル患者と家族への対応について発表。発熱、咳、膿性痰。抗菌薬で改善。自宅退院は自信がないという理由で、自宅介護より施設介護を家族から提案された。人的資源の活用を提案したが受け入れられなかった。調整中に病状が悪化し死亡された。在宅医療について考える契機となった。「介護負担」「介護方法」「介護の抱え込みを防ぐ」「経済的問題」「医療者の適切な支援」等、在宅死について考察した。
指導医からのフィードバック:彼は、様々な問題を抱える患者を落ち着いて診てくれたし、診療録を非常にしっかり記載されていた。

6期生3名へのオリエンテーション。最初に「ニポポ」研修の概要について山本が説明し、各自にiPODを贈呈。その後、研修医を受け入れてくださる4施設(江別市立病院、勤医協中央病院、松前町立松前病院、三意会我妻病院)から研修内容、スケジュールの発表があった。

最後は第6期生の歓迎レセプションが行われた。参加者全員からエールが送られ、それを受けて6期生から研修に向けての決意を述べられた。理事会からレセプションまで参加すると8時間の長丁場であったが、充実した時間を過ごすことができた。(山本和利)