札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年10月25日月曜日

家庭医療学の研究

10月22日、藤沼康樹先生に学生講義終了後、スタッフ向けの講義をしていただいた。講義のタイトルは「家庭医療学の研究対象」である。
先生は今、リサーチに興味があり、プロジューサー役をしている。一流の研究者が素晴らしいメンターとは限らない。中小病院の現場の人とリサーチをするのは大変(自己負担のない研究はなかなか進まない)。現在、自腹で12名集めた。

質の高い家庭医療・プライマリケアを効果的・効率的に寄与する学問分野である。単純なヘルス・リサーチではない。
「日本の家庭医療の課題から」
1. 質
(ア) 質を何で測るか
(イ) 安全性、有効性、患者中心性、適時性、公正性
(ウ) 測定のスケールを作る、幸福かどうか
・継続的質改善:T2(ガイドライン通りの診療がなされているか)、SEA
・経営、運営、マネージメント
・生涯学習のシステム作り
・chronic care を大枠で考える:systematic approach(chronic care model)
2. 患者中心性
・共通基盤の確立
・意志決定の実施
・healingと深い繋がり:deep interviewをする
3. テクノロジー
・情報テクノロジー
・診断・治療テクノロジー
4. 研究
・研究ネットワークの構築
・アカデミック部門の協力
5. 政策
・医療政策への関与
・患者の立場から
・Social medicineの立場から
・研究に基づく提言
・地域基盤型参与研究:運動に近い、photo mapping
6. 教育
・教育の充実
・生涯教育

教室員それぞれが研究へのモチベーションが上がったのは確かであるが、このように文字にしてしまうと講義を直接受けたときのインパクトが伝えられないのがもどかしい。
藤沼先生、ありがとうございました。(山本和利)