札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2010年10月4日月曜日

消えた警官

『消えた警官 ドキュメント菅生事件』(坂上遼著、講談社、2009年)を読んでみた。

2010年10月、大阪の特捜検事の捏造事件がマスコミを騒がしている。本書は1952年大分県菅生(すごう)で起こった駐在所爆破事件を検証したものである。戦後、農地改革など民主的な政策がとられる中で、地主が強くて封建的な風土の残る菅生で、国家権力・警察が謀略を練って起こした捏造事件である。

謎の男が現れ、地元の過激分子と一緒に駐在所爆破事件を起こす。しかしながら三人逮捕されたはずなのに、そのうちの一人が消えてしまう。それを共同通信や新聞社の記者がこの疑惑を追及してゆく経緯が記されている。無実を勝ち取るまでの法定場面や科学捜査の場面は手に汗を握り、次のページをめくるのが待ちきれない。

 いつの時代も権力の横暴は存在するのだ。ミステリー嗜好の方にも、ドキュメント嗜好の方にもお勧めである。(山本和利)