札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2013年11月22日金曜日

11月の三水会



1120日、札幌医大で、ニポポ研修医の振り返りの会が行われた。松浦武志助教が司会進行。後期研修医:1名。他:6名。

 

ある研修医の経験症例。うつの既往と慢性的な全身の疼痛の93歳女性。SSRIを処方し経過観察。移動する発疹に抗ヒスタミン剤を処方。15時間まえから胸部絞扼感。ECG他で異常なし。腹部全体の痛み。虫垂炎を疑い精査したが、憩室炎であった。脳室腹腔シャントのある29歳女性の発熱。腹膜炎を疑い、転送。DMのコントロールが不良の女性。インスリンの打ち方を変えて、HbA1cが改善した。検診で指摘された鉄欠乏性貧血に、精査をして鉄剤を開始。発熱と膿尿に対して腎盂炎として加療。病院恐怖症の統合失調患者の喘息発作が悪化した。蕁麻疹にステロイドを処方した。(本当に必要か?)

在宅症例:慢性頭痛にトリプタノールを処方。頭痛は軽快したが、口渇感が出現。認知症、タール便。重度の認知症。肝硬変、DM,心臓細動、認知症に対して訪問介護士と連携。BUN/クレアチニンの上昇で消化管出血を疑った。点滴療法をするかどうか家人と話し合い。

 

研修医から振り返り1題。

 「水を飲んだだけでも血糖値が上がるんです」という高齢糖尿病患者。独居、抑うつ状態。24回の入院歴。HbA1c:11-13%。入院中に低血糖になることあり。家は「ゴミ屋敷」状態。水道が壊れている。虚血性心疾患あり、最小血管障害あり。糖尿病の家族歴あり、夫の暴力が原因で離婚し子供とは音信不通。143㎝、64.4kg。

多職種カンファレンスを開催。「3食食べていなくても翌朝の血糖値が400mg/dlとなる。」「医師のいう通りにしてもよくならない」という思いがある。

Somato-psycho-socio-semiotic modelby Sturnberg J)で考えてみた。4つのバランスが重要である。それにそって対応し、関係性がよくなった。

一日中眠くて、インスリン自己注射を忘れる。睡眠時無呼吸症候群と診断され、C-PAPを開始。傾聴を続けた。

(C-PAPで血糖値を改善するという報告もある)

 

クリニカル・パール:ナラティブ・アプローチとSomato-psycho-socio-semiotic modelは慢性疾患管理に有力な手法となる。

 

研修修了者の報告

無床診療所で活躍。文化の違う医療機関との連携の仕方をすり合わせる必要がある。糖尿病の生活、療養指導がされないまま退院してしまうケースなど、問題もある。知的障害のある患者と病院スタッフとで折り合いが合わず、検査せずに帰宅。その後、末期がんが判明。

温泉旅館の高齢患者の切り傷への対応を報告。

 

今回は新しい手法で、慢性期ケアについての重要さを発表してくれた。(山本和利)