札幌医科大学 地域医療総合医学講座

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地域医療総合医学講座のブログです。 「地域こそが最先端!!」をキーワードに北海道の地域医療と医学教育を柱に日々取り組んでいます。

2012年7月22日日曜日

医学史 最終日

医学史講義の最終日。
本日のテーマは佐久総合病院の若月俊一と厚岸町立病院の五十嵐正紘であった。両先生とも、地域医療の普及に尽力された先生で、総合診療科でコーディネートしている医学史の最後を飾るにふさわしいテーマであった。

学生の発表はこれまでの発表のいいところを吸収しつつも、独自に考えた新しい方法を取り入れたものもあり、大変わかり易い良い発表であった。

 これで22班すべての発表が終わったわけであるが、どの班も最初の講義で強調した

1)ストーリーを明確に

2)発表のための原稿は読むな

3)スライドには文章ではなく魅力的なタイトルを

4)魔法の3のルールを活用せよ

についてはしっかりと守って発表を行なっていた。

テーマには、資料があふれんばかりにある超有名人から、著書が1冊もないようなマイナーな人まで様々であったが、発表内容はその差を感じさせない、質のとれた発表ばかりであった。

 医学史の講義では、歴史上で医学の発展に貢献した人物について理解を深めるという大きな目標があるが、それ以外に、『いかにわかりやすく発表するか?』ということについて真剣に考えて欲しいという狙いもある。むしろこちらのほうが大きいといえる。

 これについては、この半年の諸君の頑張りを見ると狙いは十分達成されたように思う。

発表終了後に自分の班の発表に対するフィードバック(出席票)を見に来る学生が例年になく多かった。かれらは、「どこが良かったか?どこが改善の余地があるのか?」をしっかりと吸収しようとしていた。今後へ大いに期待させるものである。

 また、発表内容への学生どうしの議論を深めさせるための司会も学生に担当させることにより『ファシリテーション』についての理解を深めてもらう狙いもあった。

 こちらは、学生諸君がこれまでほとんど意識して来なかった概念であったことと、議論を深めるほどの時間がなかったことなどから、授業の場ではあまり深めることは出来なかったが、

彼らは発表の準備をするに当たり、初めての班員どうしで仕事を分担しながらひとつの作品を仕上げていく過程で『どうしたらそれぞれの人のいい所を引き出していけるだろうか」といったことを意識したであろう。その『いいところを引き出して」というのがまさに『ファシリテート』なのである。

 今後諸君が医師となった際、チーム医療を実践できる能力はますます求められていくだろう。その時君たちはリーダーとしての振る舞いを求められる。リーダーはチームの構成員の『いいところ』『得意分野』をうまく引き出して、チームとしてできる最高の医療を患者さんに提供できるようになってほしい。今回のこの半年の講義ではそのさわりだけでも体験できたのではないだろうか?

 講義を聞くだけの受け身ではない、自分たちで司会をし、発表もする参加型の講義としては目標は十分達成できたのではないだろうか?

来年度はさらなるバージョンアップを図りたい。
(助教 松浦武志)